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晩夏の侵入者

事件ファイル
09 /01 2017
8月の最後の夜、家に帰った私は、玄関の網戸を開けた。

その瞬間、ジジイ!という、小さく鋭い声が聞こえた。

だっ、誰じゃあ!

玄関の中で聞こえた気がしたが、もちろん誰もいない。

ソラミミだろうか?それともファファミレだろうか?

いや、悪意のある小人かもしれない。
だいたい、ジジイとは失礼だろう!ご老人と呼べ。

周囲をキョロキョロするが、やはり何もいない。
変顔をしながらキョロキョロしたが同じだった。

モニタリングでも無いようだ。


それから、服を脱いで、あ~らよっと言いながら
パンツ一丁になり、顔を洗い、麦とホップを飲んで、
晩飯を食べてひよっこの録画を見ていたら、家内が、
今、ゴミ箱の向こうで何か飛んだぁ!と言う。

小人だろうか?いや普通に考えれば虫か。

めんどくさいので、無視してテレビを見ていたが
ゴキブリかもしれないので、成敗することにした。

暴れん坊将軍の衣装が無いので、パンイチ
近づくと、突然!ゴミ箱の後ろから、ジジジ!
鳴きながら、小さい蝉が飛び出した。

ワーッ!

蝉はふすまにバン!と当たり、畳にポテッ!
落ちて裏返しになって動かなくなった。

死んだか‥。


短い夏を力の限りに生き、その命を全うしたようだ。
せめてその亡骸は、庭の土の上に運んでやろう!

ご飯の後片付けをしてトイレに行って部屋に戻り、
蝉をつかま

ミミミミミ!!

いっ、生き返りやがった!

蝉は六畳間を縦横無尽に飛び回り、天井に何度も
ガンガンぶつかって、蛍光灯の上に乗る。

いかん!そこで暴れたら、部屋中にホコリが舞う!

追い出すと、また部屋をメチャクチャに飛び回り、
天井にバンバン当たる!

こいつ!痛くねえのか? ハッ!ゾ、ゾンビ?

そして、急に見失った。


どこへ隠れやがった!野郎ども逃がすな!おう!
私は一人芝居をしながら、部屋の周囲を
メヂカラフルパワーでサーチした。


いた!

自作のウクレレ掛けに止まっている。
天然の木の枝と思ったか。

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へへ~ん、残~念~でした~~!!

蝉は、殺気を感じてミー!と鳴いて逃げる。


今度はフスマの下の方に止まった。

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もう隠れる元気もないらしい。限界か?
天井で頭を打ちすぎてアホになったか。


私は諫早市のゴミ袋を蝉にかぶせた。

確保!

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そしてパンイチお宮の格好のまま外に出て
庭の畑の土の上に逃した。

まだ生きてはいるが、時間の問題だろう。
アディオス!アミーゴ!

適当に言っただけだった。

家に入ろうとした時、玄関の網戸に、
別の蝉が止まっていることに気づいた。

1708DSCF3495c.jpg

ああ、そうか!

たぶん・・
さっきの蝉も、家の中からの光に誘われて
網戸に止まっていて、私が開けた時に一緒に
家の中に入り、死角に隠れたのだろう。

うんきっとそうだ。 うんちがいない。


私は、網戸に止まったもう一匹の蝉を家に
入れないよう、そっと網戸を開け中に入った。

残り少ない命を自由に過ごすがいい。

夏の終わりの空には、高く星が瞬いていた。


それから、寝る時間になって、家内が玄関を
閉めるため、網戸を勢いよくズシャー!と開けた。

もう一匹の蝉が、ジジイイー!と鳴きながら
家の中に飛び込み、どこかに消えた・・・。


ああああ~~もおおお~~!!


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ピンチ!高速道を走行中、異音発生!

事件ファイル
08 /14 2014
13日は県北の江迎町へ、おばさんの初盆のお参りに行ってきた。
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江迎といえば、潜龍酒造!

実家で年老いたママンを後部座席に乗せ、9時過ぎに出発

私のクルマは、11年目に突入すると思っていたのだが、
今年車検なので、よく考えたらもう丸11年乗っていた。
ガタは出始めているが、今もしっかり走っている。

オイル交換をしてなかったのがちょっと気がかりだったが、
まだ墨汁のようでも無いので大丈夫だろう。

確か、前回もそう思った‥。


まあとにかく、いい天気になってよかった。
諫早インターから高速に乗って、北へ向かう。


ところが、高速に入ってすぐの事、クルマの右前付近から、
ブゥーブブブブブブー‥‥と、すんごい音!!

「何や何や?!」「何ね?どげんしたとね?」 スピードを落とす。

今回は私のではない!

後ろを見たが、母も違うと首を振った。

音は断続的に出ている! どうも何かが振動しているようだ。
スピードによって音の間隔が変わる。回転部に何かが当たって
いるのかも知れない。


今村パーキングエリアにピットインして、右前輪の下まわりと
エンジンルームを確認!

は挟まっていなかった。

見た限りでは、特に変わった事は無い。
明らかに機械的な擦過音だが、原因が判らない。


大村までに収まらなければ、高速を降りて諫早に戻り、
実家の軽で出直そうと考えて出発した。

ダメだ! やはり音が出る!これは困った‥


何気なく、エアコンのスイッチを切ってみた。

ブゥゥ‥  音が止まった。

スイッチを入れるとまた、ブーブブブー!と鳴き出す!

これかーい!

原因は判明した。エアコンに関連する回転物に、70キロ
以上出すと何かが当たり、音が鳴リ出すようだ。
通勤では飛ばさないので、今まで症状が出ていなかった。


問題は、このままエアコン無しで往復200キロ走ったら
暑くて死にかけないかという事。

まあ帰りは下の道でもいい。

窓と屋根をオープンして、そのまま進撃する事に決まった。


クルマ自体が古いので、抑え気味に走る。

風は乾いていて心地よく、背中以外は暑さを感じずに走れた。


大村を過ぎて長い登りの途中、今度は何か金属の焦げるような臭い!

母が気づいて言う。「あんた、何かくさかよ!大丈夫ね?!」
「燃ゆっとじゃなかろうねぇ?」

明らかに怯えていた。

私は、出来るだけ平静を装い、「ま、まーだ、大丈夫ゥ!」と答えた。

水温も油温も上昇していない。何か問題があれば、エンジンが
もう不整脈を起こしているはず!

私は、数多くのボロ車を乗り継いだ経験を元に、問題無し!
判断した。

だが、目は無意識に停まれる所を探す‥


ちょっとまてよ!前を行くトレーラーが、フンゴオオーと苦しそうに
登っている。これは‥

思い切って「南無観世音菩薩!」と唱えてアクセルを踏み、ブチ抜いた!


──臭いは消えた。

クルマの窓が全開だったので、トレーラーの排ガスやら何やら
車内に直接入っていたようだ。


よーし、これでやっと平和が訪れた!

我々は、武雄ジャンクションを抜け、
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西九州自動車道を佐世保・佐々方面に向かった。
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イ、イノシシ‥? まさか、出ないだろうなぁ‥


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最後までお読み頂き、ありがとうごん助 (残念、特に意味なし)

Sの伝説 休日出勤の昼食

事件ファイル
10 /21 2013
仕事が忙しくなると休日も出勤する事になるのだが、
昼食の仕出し弁当は、人数が少ない時は注文しない。

手弁当でない者は、それぞれ外に買いに行ったり
朝から途中で買ってきたりする。


Sはひとり、きょうは中華の出前を取ると言い出した。

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物凄く不吉な予感がしたが、とても楽しみにしている
ようなので、誰もとめなかった。

ラーメンは早く来たら伸びるからよせと助言してやる。
悩んだあげく、Sは中華丼と焼きそばを頼んだ。

ご飯と麺以外の具材は、ほとんど同じだった。

当時の仕事場は一階で、ドアの外はすぐ公道に面していた。
出前はこのドアから入ってもらうように言った。


11時を過ぎた頃から、どうもSの様子がおかしい。
そわそわして、しきりにドアの方を気にしている。

まさかと思い、「出前はまだ来んぞ」と言ったら、
真顔で「まだ来んかな~」と答えた。

本当にもう待ちわびていた。

「当り前やっか!昼ちょっと前ぐらいに来るさ!」

「まだ11時やっか!こげん早う来んもんか!」

「そうさ、よかけん早よ仕事せろ!」

みんなに散々言われてSは仕事を続けたが、その後も
時々ちらっちらっと、時計とドアを交互に見ていた。

出前は予想よりも早く、11時42分頃に届いた。
Sは、にこにこして代金を払い、中華丼と焼きそばを
窓際の机の上においた。

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Sは、名残り惜しそうに料理の方を見ながら仕事に戻ったが、
いつの間にかまた、中華丼と焼きそばの前をうろうろしている。

料理はラップをかけてあるだけなので、丸見えだった。
気になって気になってしょうがないらしい。

美味しそうな匂いも漂っている。
匂いに引き寄せられてふらふらと近づいたのだろうか。

「まーだ昼じゃなかぞ!」と言われ、のろのろと持ち場に戻る。

ところが、しばらくするとまた料理の前に立っている。
今度はラップの上に手をかざして「冷えんかなあ~」と言う。

「ダンボールでもかぶせとけ!」

その後もSはダンボールの方をチラ見しながら一応手は動かし、
やっと昼のチャイムが鳴った。

結局、Sは小一時間、全く仕事に集中することが出来なかった。
まるで子供、というより犬だった。

冷めた中華料理を「うまかうまか」と幸せそうに食べるS。

以前、幼い頃に乳母車から落ちて頭を打ち、バカになったと
自分でよく言っていた。

もう一回打ったほうが良いのかもしれない。

Sの伝説 黄昏の食堂で

事件ファイル
10 /19 2013
以前、同じ会社で働いていた友人S(仮名)は、いいやつだが、
自他共に認める町一番の大馬鹿野郎だった。
年下だが気が合うので、対等の付き合いをしていた。

これまで残してきた数々の伝説を、歴史の闇に埋もれさせて
しまうのは大変惜しい。

その一部をここで紹介することにしよう。


ある日の夕方の事、私は会社で仕事をしていて、現場から
事務所へ向かうところだった。食堂を通るのが近道だった。

階段を登り、開け放したドアから食堂へ入る。

秋の夕陽が部屋いっぱいに差し込み、並んだテーブルを
朱く染めていた。

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窓辺に置かれたアレカヤシの影が、長く伸びていた。

眩しさに少し目を細めると、奥の方の薄暗い所に
誰かが後ろ向きに立っているのが見える。

背格好でSだと判った。

何をしているのだろうと思ってよく見ると、Sは、誰かが
昼に食べなかった弁当のフタを開けて、
おかずをつまみ食いしていた。

三十近い男が、残りものをつまみ食い‥。

私は呆れて「ねまっとる(腐ってる)かもしれんぞ!」と言う。

Sは、犯行の一部始終を目撃されて恥ずかしかったのか、
おかずの卵焼きを口いっぱいに頬張ったままニコニコ笑い、

「な~んも考えとらんも~~~ん」と言って、
阿波踊りを踊りながら、私の前をゆっくりと通り過ぎて行った。


やはり百年に一度の大馬鹿野郎なのだと改めて思った。
一期一会。
神様ありがとう。こんな大馬鹿者に会わせてくれて。

事件File 02 消える石鹸の怪

事件ファイル
10 /07 2013
家の裏には、屋外用のステンレス流し台を置いている。
庭の畑で野良仕事をしたり野菜を洗ったり、作業をして
油で汚れた手を洗う時などに重宝している。
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ある日、いつもここに置いている石鹸が無くなっていた。

口を開けてまわりをキョロキョロしてみたが見当たらない。
流し台の下も、荷物の陰も探したが見つからない。

まだ結構大きかったはずだ。まあその内出てくるだろうと思い、
新しいのを出してもらった。

今度は無くならないよう、みかんを入れる赤い網の袋に入れて、
水道管に結びつけた。

それからしばらく経った日の早朝、裏からものすごい音がする。
「ガシャー、グワラ、ビギギ、ボワン!バキャ、グゲ~~」
びっくりして飛び起き、裏を覗くがすでに誰もいない。
何だったのだろう?

仕事に出る時に確認したら、赤い網袋が破られて石鹸が消えていた。

犯人は一体!?

つづく



続き。

さっきの物音はカラスではなかっただろうか。最近カラスがよく
うろうろしている。
外の扉が開いていたので、飛んできて流しに止まり、網袋を破って
石鹸が下に落ち、それをくわえて持っていったと考えればだいたい
辻褄が合う。

しかし、カラスが何のために石鹸を?行水?手洗い?ありえない。
謎は深まるばかりだ。

私は仕事場のパソコンを使って、グールグルで検索した。

カラスはエサで摂取する油分が不足すると、落ち葉の下に隠して
おいた石鹸などをかじって油分を補給するとある。
へー。そげんたーい(そーなんだー)。
 
やはりカラスの仕業だったようだ。
最近、近くの山が開発ですっかり切り開かれ、カラスも棲家を
失って食べ物が手に入りにくくなったのではないだろうか。

町内のゴミ箱もみんなしっかりした鉄カゴになって、カラスは
以前のように残飯も漁れなくなっている。
かわいそうな所もあるのだ。


そういえば先日は、カラスが電線に沿って植物のタネが混じった
白い雲古を大量に投下していた。
もしかしたらこれは、人間への警告か、仕返しか、何らかの意思
表示をしている様にも思える。

あるいは、タネを落とす事で植林し、ここを新しい森にしようと
いう計画なのかもしれない。

何だか話がSFだ。


カラスは頭がよく、いじめた人間の顔を覚えていて、正確に本人の
クルマに、ウンコを倍返しで落とすと言う。

石鹸の代わりに、国産の豚バラ肉くらいは置いてた方がいいのかもしれない。

Ramblingbird

長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。