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皇后島はいつ、ねずみ島になったか

長崎港に浮かんでいたねずみ島は、港湾開発の埋め立てで
埠頭の一部となり、現在は島ではなくなっている。



むかしのねずみ島
1705nezumijima-S37-1.jpg
(国土地理院空中写真サービス 昭和37年撮影)

明治から昭和にかけて、ここは水泳の訓練場であり、市民の
ための海水浴場でもあった。
1705DSCF5188.jpg

私の姉の世代までは、小学生は夏休みになると大波止から
船で数分のこの島へ渡り、水泳教室に通った。

船はハシケに屋根をつけたような団平船(ダンベセン)で、
乗客は立ったまま乗る。揺れたら波がザプンと床に入って
来るというスリリングな乗り物だった記憶がある。

子ども達はゴムひもに沢山の五円玉を通した「財布」を
腕に巻いて泳ぎ、休憩時はそれでおやつを買った。
シワシワの濡れた手で五円玉を渡して。


島は無くなったが、高みの部分にはねずみ島の名を冠する
公園が作られ、海岸の一部も自然のまま残されている。
1705DSCF5297.jpg

何も残ってないよりはいい。


すぐそばには大きな金属ゴミのリサイクル所。
1705DSCF5292.jpg

海岸に放置された廃船。「銀杏丸」というらしい。
1705DSCF5177.jpg

どうもこれが観光スポット扱いされているようなのだが、渚には崩落した
サビの塊が、ハングル文字の浣腸などのゴミと一緒に打ち寄せている。
水質汚染で泳げなくなった所なので、どうでもいいのだろうか。

頭の悪い子どもがキャー!と言ってボロ船によじ登り、
床がズボッと抜ける事もありそうだ。残すのなら少し
考えた方がよさそう。


顕彰碑の胸像は、田中直司氏。水泳の先生らしい。
1705DSCF5186.jpg

貧乏で裸なのではない。


この島は、正式名称は皇后島(こうごじま)なのだが、
いつの頃からか「ねずみ島」と呼ばれるようになった。

こちらは、神功皇后伝説があった事を教える石碑。
1705DSCF5201.jpg


長崎周辺の海岸の町には、神功皇后が立ち寄ったという
説話があちこちに残っている。

これは船着き場の跡らしい。ここから上陸したようだ。
1705DSCF5202.jpg


周辺には多くの釣り客。遠くに伊王島大橋も見える。
1705DSCF5196.jpg


「ねずみ島」の由来には、次のものがある。
・中心地だった深堀から見て子(ね)つまり北の方角だから。
・昔、ねずみが大量発生したから。

どちらも根拠が薄い。子の方角をネのスミとは言わんだろう。
それにこの辺りの島は、深堀から見ればすべて北じゃわい。

天敵のいない島でねずみが増えすぎる事があるとは聞くが、
史実なら記録がありそうなもの。


他に由来があるのだろうと考えていたが、「小瀬戸番所」と
いうものが江戸時代にあって、長崎港への外国船の侵入を
見張っていたという話を何かで読み、ピンと立った。いや、
ピンときた。

番所はねずみ島の目の前の海岸にあった。
1705DSCF6092.jpg


現在の市役所小榊出張所うしろの丘の上に、遠見番所。
その丘の中腹には、中番所。
そして海岸近くに、不寝番所。

1705nezumijima-S37-2c.jpg
(国土地理院空中写真サービス 昭和37年撮影)

この三ヶ所で睨みをきかせていたそうな。

「不寝番」はフネバンでは無く、フシンバンと読むが、
漢文読みで「ネズバン、ネズノバン」とも読む。

交代で、夜通し寝ずの番をした所だ。

話し言葉が皆に判りやすいので「ネズ番所」と呼ばれて
いたと思うのだが、今のところその証拠はない。


つまり、不寝番所の目の前にあるこの島は、月明りの下
いやでも一晩中「寝ず見る島」だったはず。
1705DSCF6098.jpg

これが、ねずみ島の由来ではなかっただろうか。


初めは自分でも「まさかねぇ~」と思ったが、調べたら
「ねずみ」に関する地名で同様の由来と考えられて
いる例が複数見つかり、結局、一番ありそうに思えた。


江戸の直轄地だった長崎。長く続いた太平の世で育った
番人のひとりが、夜の見張りの緊張と退屈を紛らすため、
「寝ずに見る島ねずみ島、トテ、チントンシャン」などと
洒落て言ったのが、だんだん広まったのではないか。

そんな想像をさせるのは、真面目だが根は楽天的な
日本人の話だからだ。


1813年 伊能忠敬作成の地図には、小瀬戸の番所と共に、
すでに「鼠島」と書かれている。

小瀬戸番所が出来たのは1600年台後半。ニックネームが
本名より有名になるまで、100年もあれば充分だろう。

1705DSCF5194.jpg

中途半端に埋まってしまったねずみ島だが、また100年後
くらいにはやっとその価値が認められ、周囲を掘り返し
橋を渡し「ネズミーシーアイランド」などと称して、どっかで
見たようなネズミロボットが泳いでいるかもしれない。


「寝ず見島説」は、思いつきで検証もしていないが、
同様の話を見かけなかったので書いてみた。

ハッ!まさか、くだらなすぎて誰も書かなかったとか‥?


もっと古い文献で「鼠島」の記述が見つかった時は、
即、この記事を消し、何も無かった振りをする予定。

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テーマ : 長崎
ジャンル : 地域情報

伊木力の地名再考

諫早市多良見町舟津
旧伊木力(いきりき)村の中心部。
1705DSCF5799.jpg


以前、伊木力の地名由来について記事を書いたが、
徳川埋蔵金探しのような中身のない話だったため、
期待して読んだ人は、チェッ!と言った事だろう。

これはいかんよなあアハハハ(^O^)と思ったので、
心からの反省を込めて、もう一度考えてみた。


長崎の小字地名で「桐ノ木(きりのき)」というのを
たまに見かけるのだが、ある日、地名一覧を見ていて
「ノ」がつかない「桐木(きりき)」を発見した。

そして、気づいた。

あいたぁ~!キリキに「イー」ばつけたらイキリキ
なったいね~。うんにゃ、うったまげた~!

と、言うことは、桐木の地名の意味が判れば、
伊木力の地名の謎も解ける可能性が高い!


キリキ・キリノキは、大体は桐木・桐ノ木と書かれるが、
家具に使われる桐の木がある場所という訳ではない。

桐の木がある所にいちいち桐の木地名をつけていたら
桐がないからだ。 うむ、つまらん。


桐木、桐ノ木の意味を、地形地名用語で考えてみよう。

キリ=①切ったような形状
    ②「断(き)る」で崖の事
    ③農地や住居、道路のために土地を切り開く事
      
キ=①~の所
   ②キワ、縁、端、限り、境界地
   ③キワなので崖の事
  
ノキ=「退き」の意で崩壊の怖れがある崖の事。


いろいろな解釈があって断定するのは難しい。

傾斜地の畑作地帯なので、どれも一応当てはまり、
いろいろな組合せパターンが成り立つ。

結果、自分が想定した答えに向かってのこじつけに
なりやすいので、客観的な視点が大事だ。


桐木地名の土地を、航空写真や現地調査で確認して
意味を検討した結果、 「切ったような形状の斜面」 
というのが一番合っているように思った。

切ったような斜面というのは、浸食や崩壊によって
「山の斜面にタテ方向に切り削られた谷」のこと。

山あいの谷ではなく、連続する斜面の一部が不自然に
切り削られた状態になっている所を指すようだ。

諫早市久山町旧茶屋の近くに「桐木」の小字がある。
長崎県小字地名総覧での読みは、「きりのき」。
江戸時代の古地図を見ると、桐木山と書いてあった。

現地を見ても木や草で覆われていてよく判らないが、
航空写真を見ると、山の斜面が大きくタテに切れた
地形になっている。
S_KUYAMA_KIRIKIc.jpg
国土地理院空中写真サービス 昭和50年撮影 より

キリキとキリノキは違いがあるのかという点だが、
確認した事例から見る限り、同じだろうと思う。

他の地域の桐ノ木地名の所も、地図と航空写真で
同様の地形がいくつか確認できた。

・五島市岐宿町川原 大桐木(おおきりぎ)
・長崎市西海町木場 桐木
・長崎市中里町 桐ノ木
・長崎市現川 桐ノ木谷


では、
伊木力のとは何か。

最初につくイは、意味を強める接頭語の場合が多い。
つまり「すんごく切り削られた谷」となる。
とりあえずこれで進めよう。


地名の由来を考える場合は、まず、その地名が
どの範囲を指すのか、全体なのか一部なのかを
想定する必要がある。

旧伊木力村は、舟津郷、野川内郷、山川内郷、
佐瀬郷の四郷。

舟津地区以外は、だいたい地形通りの地名。
・野川内 川沿いの緩傾斜地
1705DSCF2048.jpg

・山川内 山あいを流れる川沿いの地
1705DSCF2045.jpg

・佐瀬 山に囲まれて狭い川瀬の地 
1705DSCF2042.jpg

舟津は「船着場」の事だが、範囲が山の上までと広い。
元々はこの辺りの地形を、イキリキと表現したの
ではないかと考え、舟津周辺を検討エリアとした。


さてここに、「すんごく切り削られた谷」があるか。
舟津周辺を航空写真やGoogleストリートビューで見る。


谷があることはあるが、さほどインパクトを感じない。

現在、斜面の大半は畑になっており、麓には住宅も
多く建っていて、元の地形は判りにくい。

ただ、少し離れてはいるが、水田を挟んだ元釜地区の
大草駅周辺の崖には、くし歯のように侵食された谷が
いくつも並んでいる。
1705_ookusa1.jpg

イキリキという地域が最初はもっと広い範囲だった
としたら、これがイキリキの可能性もありそうだ。

旧伊木力村全体でも探したところ、キリキの地形は
他にもあったが、そう目立つものではなかった。


とにもかくにも、現地へ行って確認する事にしよう。


まず、大草駅方面の山の斜面を眺めて見たが、
実際に、切れた地形はハッキリは見えなかった。
1705DSCF5835.jpg

至って普通の山の風景だ。


不審者と思われながら辺りをうろつきまわった結果、
集落の背後に、三つの大きな「キリキ」を確認できた。
S_IKIRIKI_S50c.jpg


まずひとつ目。一番北側の谷。

新しい国道207号線の高架橋が架かっている所から
山を見上げてみると、頂上付近から切れたように
ずっと斜面になっており、段々畑が続いている。
1705DSCF5803.jpg

近づいてみると、なかなかの傾斜地!
1705DSCF5813.jpg

これは、迂闊におむすびを落とせない。

急な斜面を川が流れ、谷の下には農業用水を汲む
設備がある。水量もありそうだ。
1705DSCF5816.jpg

山の上の農道より見る。
1705DSCF2037.jpg
急すぎるのか、この辺は畑にもなっていない。

ふたつ目。

ここは下の方は広めにえぐれたような形状。
1705DSCF5874.jpg


国道の部分には盛土をしてあり、ダムのような格好に
仕切られている。川の水はトンネルを通って海へ。

谷は途中で向きを変え、複雑な形状になっている。
1705DSCF2033.jpg


さらにその隣に、麓からは判りにくいが、奥行きが
一番長くて深い三つ目の谷がある。

深くて険しいためか、上の方は何にも使われていない。

山の上の農道。この奥まで切れ込みが続く。
1705DSCF2028.jpg

この会社の裏の岩からは湧水が滝のように出ていた。

この並んだ大きな谷が、「イキリキ」ではないかと思う。


現在は、谷もほとんどがみかん畑になっているが、
大昔には、大崩落した斜面が頂上付近から麓まで
続き、なかなか壮観だったに違いない。

スッキリしないのは、キリキを強調するのなら、
「大キリキ」でもよかったのではないかと言う点。
なぜ「イ」だったのか。

もしかしたら「イ」は、生活に必要な「井」、
つまり谷川の水の事を言ったのかもしれない。

崖ばかりの土地でも、水さえあれば何とかなる。
幸い、ここには谷川があり、みかん山の農業用水に
利用できるほどの大量の水が流れている。

伊木力の地名がつけられたのが、いつの時代かは
判らないが、ここには縄文時代から人が住んでいる。

波静かな大村湾の奥なので、魚や貝も獲りやすく
遥か昔から人が暮らしやすい土地だったのだろう。
1705DSCF5838.jpg


以上が、伊木力の地名について再度検討した結果。
全然違うかもしれないが、前回よりはマシなはず。


それにしても、伊木力を含め多良見のみかん山に登ると、
開拓農家のたくましさというものを感じる。
1705DSCF2018.jpg


儲かるというのもあるのだろうが、少しでも少しでもと
畑を広げていって、縦横無尽に道路がつながり、今では
山の斜面全体がほぼみかん畑になっている。

「キリ」には開拓するという意味もある。
イキリキは、「すごい開拓地」とも言えるだろう。


みかん山は、松の頭峠を越えて長与町まで続く。
長与町もまた、みかんの町。

麓の本川内駅からトンネルを抜け、旧伊木力村を通って
大草まで、JR線路沿いにもみかん畑の風景が広がる。
1705DSCF7661C.jpg
 
それは、三十数年前スリムだった私が、学校帰りの汽車の
窓から眺めた風景と、まだそんなには変わっていない。

テーマ : 長崎
ジャンル : 地域情報

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Author:Ramblingbird
長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。 

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