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いなちゃり! 快適なハンドル

いなちゃり
04 /26 2021
 いなちゃりとは、田舎での使用を前提に造られた自転車型スーパー散歩兵器のことである。
 2017年に 「いなちゃり」というカテゴリーをつくり、2回だけ記事を書いたのだが、疲れた、眠いなど諸般の事情で、それ以来ほったらかしだった。
 今さら誰も待っちゃいないが、自分さえよければいいので、少し時間があるうちに続きを書いてみる。
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 自転車のパーツの中で、ハンドル・ペダル・サドルは、操縦する人間が直接触れる重要なインターフェイス部分になる。

・ハンドルは、進行方向を変えるだけでなく、ペダルを漕ぐ際、腕で押え、引き上げることで、より多くのパワーを伝達し、ゴイゴイ前に進むことができる。

・ペダルは、言うまでもなく自転車の一番重要な入力装置。無ければ地面を足で蹴って進むしかなく、サドルで股がすりきれて血まみれになってしまう!
 「阿鼻叫喚の血股」と名付けた。

・サドルは、ママチャリなどではイスと認識されているが、効率よく長時間走るためには、ハンドル・ペダル・サドルに体重を分散させる必要がある。そのため、自然と尾骨を軽く乗せるような感じになる。
 また、サドルは、汗ばんだ汚い尻を、右に左にこすりつけられ、時には温泉たまごのような臭いHey!を噴射されることもあるため、誠に同情の念を禁じ得ない。がんばれ!サドル。

 自転車の使い方に応じて、これら重要パーツの選択・調整をしっかり行えば、一段と快適に走ることができるようになるはずだ。
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 今回は、散歩用自転車のハンドルについて、これまでにたわしが行ってきた、ムダな研きゅうの中身を公開する。  (ムダなのね)

 自転車のハンドルは、ザックリ、下記の3タイプに分けられる。

①タテに持つもの ドロップ、セミドロップ、ブルホーンなど
②ヨコに持つもの フラットバー、ライザーバーなど
③斜めに持つもの プロムナード、ママチャリ用ハンドルなど

 ドロップハンドルの優れている点は、状況に応じて、ブレーキレバーのブラケットに手をかけるタテ持ちと、前傾姿勢が深くなる「下ハン」、そしてヨコに持つ「上ハン」を使い分け、効率よく走れること。そして、持ち替えることで、疲れを緩和し、手や腕の局所的な痛みも抑えられる。

 ドロップはスポーツ車用であり、基本的に前傾姿勢になるので慣れないと辛い。しかし、上記のメリットがあるため長距離走行も楽になる。
 なので、ランドナーなどツーリング系の自転車にも採用されている。

 ドロップハンドルで、ランドナーバーというタイプは、両端のタテ持ち部分がハの字形に開き、上面の曲がり部分が盛り上がっている。
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 ブラケットを軽く持った際、普通は親指だけで支える感じだが、これは手のひら全体で包む格好なのでリラックスできる。日東の最近のカタログでは、ツーリング用という表記だ。

 現代のロードバイクのハンドルは、ブレーキレバーとシフターが一体化したStiレバーとやらに合うアナトミックシャローというタイプが主流のようだ。
 自分は、幅が広めで両端がランドナーのようにハの字になった特殊なシャロータイプを、改造ツーリング車に使っていた。Stiレバーは、買えなかった。
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 いい感じだったが、リーチがホントに短いため、ブラケットポジションを調整すると上ハン部分も遠くなり、あまり上体を起こせないのが不満だった。

 セミドロップは、むかしのフラッシャー付き少年自転車の定番だったが、これが意外と走りやすい。体重も分散されていい感じだった。
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 ただ四つん這いに近い体勢になるのでスピードを出して急ブレーキをかけたらツンのめりそうで恐い。ハンドルを高めにしたり上下逆にすると緩和されるが、確実にカッコは悪くなる。

 セミドロップ風の変わったものをネットで見かけて使ってみた。
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 上下どっち向きにしても、ステム固定部とグリップの高さが同じなので、楽でツンのめらずカッコ悪くなーい!となる予定だった。
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 最初はよかったが、少し距離が伸びるとスピードが出しにくく疲れることが判った。ハンドル幅が広くグリップ角度が中途半端なせいか、うまく力が伝わらない。

 ドロップの下ハンを使う機会が少ないのでブルホーンバーも試してみたが、これはドロップとは別物と思ったほうがいい。近距離なら快適で上り坂もいけるが、バーテープだけだと長距離で必ず手や肩が痛くなった。ちぎったタオルを重ねて痛みを緩和したこともあった。
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 一旦、後側に曲がりこんだものも試したが、やはり長距離では落ち着かない。手のひらが乗る面積が狭いからだろう。

 そこで、ランドナー用のハンドレストでこういう細工をしてみた。
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 しかし、今度はハンドレストが手のひらに食い込んで痛い。

 バーテープの下に敷くゲル状のクッションも試したが、バーテープの隙間からにょろにょろひっと出てきて、何度も巻き直すことになった。
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 結局、ブルホーンは自分の使い方には向かないようだ。


 フラットバーは、元々マウンテンバイクに採用され、クロスバイク系のスポーツ車にも使われるようになったものと記憶している。
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 普段ドロップハンドルばかり使っていると、上り坂などで力を入れた際にハンドルも左右に大きく振れ、慣れるまでまともに走れない。慣れても今ひとつ踏ん張れない。
 そこで、エンドバーが追加されるようになったのだろう。しかし、腕を大きく開いた状態でタテ持ちしてもやはり思ったように力は入らない。
 それが判っている人は、最初からフラットバーの両端を切り詰めて使うのだろう。
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 また、フラットバーに真円のグリップだと、手首が不自然な角度になる場合が多く、手が痛くなる。厚みのあるエルゴグリップを使うと握る角度が変わり、けっこういい感じになる。エンドバーが一体のものなら尚よい。
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 現在のメインの散歩自転車はこの仕様にしている。
 
 ただ、グリップなどは見た目が同じでも、メーカーによって材料や品質に差があるかもしれない。ゴムの表面が溶けてベタベタしたりするので注意が必要だ。中国なら、ニセモノのニセモノが存在していてもおかしくはない。

 ライザーバーは、フラットバーよりバックスイープ角度(後ろ側の曲がり角度)がついていて自然に持てる。
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 なので、折りたたみ自転車やシチーユースのオサレ自転車などにも広く使われている。ただ、見た目が地味なので好みが分かれるところだ。

 ライザーバーには、スポーツ車用に、15度くらい角度がついてカッコイイものもある。 たしか、日東 B245AA
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 これはなかなか使い勝手がよかった。ゴム製のエルゴグリップを合せ、いきなり諫早から島原半島一周140キロくらい走ったが、手が痛んだような記憶はない。しかしエンドバーをつけるには長さが足りず、つけたとしても不自然な角度になるだろう。

 ライザーバーはスイープ角度はいろいろあるので、ヨコ持ちと斜め持ちの境界が、ちょっと曖昧になる。
 
 プロムナードの場合は、全体の幅が広く、ゆったりリラックスして走れるため、平地の散歩には適している。反面、上り坂では腕の力を使えず、じゅうぶんなパワーをペダルに伝えられない。

 散歩自転車 RITEWAY パスチャーの純正ハンドル。大きくラウンドしていて見た目はゆるいが、平地では意外とガンガン漕げるものだった。
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 カマキリハンドルなどは、平地でも力が入らない。特別な訓練や修行とかでなければ、坂の多いところで使うのはやめたほうがいい。

 プロムナードでも、けっこうタテ持ちになるものがある。
よさそうな気がして使ってみたが、握る部分が、クランプ部からかなり後のほうにくるため、ハンドル先端がひざに何度も刺さりそうになる上、腕の力も使えない。
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 どうしても使うなら、ステムをすんごく長いものにして全体を前に移動すればいいが、そんなムダなこと試す気にもならない。

 あと、フレームと同様、材質によっても手に伝わる振動や衝撃は変わる。田舎は道が悪いので古い鉄ハンドルが良かったりするが、重いのが難点。現在のスポーツ車はほぼアルミ合金なので、硬めだが軽くできている。
 カーボンは貴族用なので、無い。
 
 いろいろやってみて、何でもこなせる理想のハンドルというものは、たぶん存在しないということが判った。
 だが、あきらめたらそこで試合終了だ。(何のヒネりもねえのかよ)

 自分としては、少しでもをしたい一心で、サブハンドルを追加する方向で実験を続けている。

 最初にやったのは、散歩自転車のプロムナードバーにフラットバーを追加して、向かい風の抵抗を減らす作戦。そこそこ役に立った。
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 ドロップハンドルに追加すれば、な~んと、3階建てになる。
 ロンドンバスが横に並んでも、余裕で「フッ、勝ったな‥」とつぶやける。
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補助ブレーキは不要だった。もう少し軽ければGood!
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 ブルホーンに追加したら、使い勝手うんぬんより、カッコ悪すぎて早々に引っ込めた。
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ギドネットレバーも試したが、グラグラするしレバーも細くて使いにくかった。

 セミドロップにサブハンドルを追加したもの。
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 ブルホーンを合わせたものは、かなり快適だった。
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しかし、目立つのと、重くなるのと、死ぬほどカッコ悪いと思われているかもしれない!という考えがよぎり、この自転車を処分して以来、採用していない。
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 ゆっくりでも長時間走るなら、ハンドルは、持ち替えることより手が痛くならないことを優先させたほうがいい。
 手が痛くならないようにするには、やはり、ハンドルに触れる面積を広くすることと、グリップやバーテープの適度の厚みと柔らかさが一番効くだろう。

 現時点では、この中国製のエンドバー一体エルゴグリップが価格も重量も含め、ベターな選択だと思って採用している。
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 古いものにこだわらず、新しい技術を取り入れてみることも必要という事。

 ハッ! だったら、これにサブハンドルつければ、最強ということか?

 それまだ、やってなかった! 
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【地名散歩】 時津町 日並(ひなみ)

長崎地名的散歩
04 /23 2021
 時津(とぎつ)という地名は、トギ(研ぎ)が崖を意味するため、崖地の港の意味と考えられる。 (参考:古代地名語源辞典 楠原佑介編)
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 実際、埋め立て以前の旧海岸のそばは切り立った崖が多く、平地は極端に少なかった。
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 長崎街道の海上ルートだった頃は、港の周辺は賑わったようだが、農地は範囲が限られ、収穫量も望めなかっただろう。

 時津町は、昭和に海岸を埋め立てて企業を誘致し、工業の町になった。
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 働く人が住んで住宅が増え、さらに埋め立てて商業施設も多くできた。便利になってますます人が集まり、さらに発展を続けている。
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 こんな現在の姿を、誰が想像できただろうか。

 あとは、新しい道路が早く完成して、あの腐れ鬼渋滞が解消できれば言うことなしだ。
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 この海岸埋立地のそばに、日並郷(ひなみごう)という地区がある。

 海に向かってゆるやかな斜面が開けた所で、日当たりもよいためか一戸建ての住宅がどんどん建っている。
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 以前はここも、工場が並んでいたが、平成になって住宅地化が進んだようだ。

 昭和37年の航空写真を見ると、
一面、たたたた田んぼ!はは畑!
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     国土地理院 空中写真サービスより
 自然の地形に沿った田畑で効率はよくないが、時津では貴重な営農地帯だっただろう。しかし今はここも大きく変わろうとしている。
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 ヒナミは、「樋並み」で、灌漑用水を遠くへ運ぶためのトイ、「井樋(いび)」が並んでいたことによるのではないかと思う。
 ナミは「町並み」など、並ぶという意味のナミ。これは田んぼが開かれていった頃の集落の風景イメージだ。
 時津周辺は、時々水不足になると聞くが、ここは、川が三本も流れている。川より高い田畑には水路が引かれ、田んぼにも水が溜められて壮観だったと想像できる。

 日並と言うのもなかなかの謎地名だが、周辺の小字地名は、さらに謎に包まれている。
・火の首(ひのくび)
 ひぃ~噛まないでぇ~!成仏してぇナンマンダブナンマンダブ!

・火渡(ひわたし)
 えっ!昔、ここで、聖火リレーが?

・火篭(ひごもり)
 そんな熱いところに引きこもっとらんで、働け!

 よし、今回はこんな所でいいだろう。

 これらについて、キリシタンやら何やらとホラーな噂話もあるようだが、散歩記では、民俗学的、地理学的、科学的な視点を忘れずストイックに地名の考察を行い、楽しく遊びましょというスタンスで行く。
 
・火ノ首は、長崎県の小字地名総覧では、集落の頂上、貯水タンクが並ぶ辺り。
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そこから少し下ったところにある大きな溜池も、火ノ首堤(つつみ)という。
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 地名の首は、くびれた形状の土地である場合が多い。貯水タンクの周囲は確かにくびれ地形になっている。
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    Google3Dマップより
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   ひ~ん、やべえよ!火の首の道路やべえよ~!
 
 しかし、峠の向こう側の子々川(ししがわ)郷のほうも火の首という地名なので、頂上付近を漠然と「ひのくび」と言うようになったのではないか。
 いずれにしても、この辺りに水源があったとすれば、集落のてっぺんで水路が始まるところになる。てっぺんを頭と言い、頭のことを首と言うので「樋の首」と呼んだのかもしれない。
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・火渡(ひわたし)はよく見る小字地名で「樋渡し」だろう。
 地形の高低差で川や水源から用水を取り込み、谷間や段差などを越えて遠くへ行き渡るようトイを渡したところ。
   最近のコンクリート製のもの。長崎市北浦町 大山祇神社前
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 諫早市にある三ヶ所はすべて、樋渡と書く。大村藩だった所は火渡が多く、松浦市では日渡などとも書いている。

 井樋で引き込まれた水は、山の端を回り込み、住居のそばを抜け、道を横切り、田へ流れ込む。
 たとえば、こういうところも水路の名残りなのかもしれない。
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   ひ~ん、せまいよう~恐いよう~!

・火篭(ひごもり)は、以前の海岸のそばにある。
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 これも想像を豊かにする地名だが、まずは「篭り」の意味を見てみよう。
・閉じこもる
・隠れる
・入って出てこない
・隠れて現れない
・神社のお籠り(参籠)
・佐賀藩での干拓地の名称

 佐賀藩では干拓地のことを篭・籠(こもり)と言う。干拓の際に土手の石が崩れないよう、カゴに石を入れて埋め込んだ事が由来とも言われている。あるいは単に石を埋め隠したからか。
 佐賀藩だった諫早の干拓地には、開拓者の名を冠した、何とか左衛門籠りとか、助兵衛籠りといった「開拓地名」が数多くある。
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        おお、助兵衛さん、仕事も頑張ったな!

 日並の場合、昔は海まで傾斜地が続いており、干拓地では無かったはず。水路がひかれたことで農地になった場所に、諫早の干拓農地にならって「篭り」の名をつけたのかと考えたが、佐賀藩と大村藩で、そんな交流があったとは考えにくい。

 また、昔、お籠りをした神社のお堂があった所とも考えられるが、ここにはそういう痕跡は見当たらない。
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 大村藩にも、海岸に籠(こもり)地名がある。大村市今津町の自衛隊敷地の河口付近は柿籠(かきこもり)という小字地名のようだ。
 カキは欠きで、水際の崖か岩礁と思われるが、自衛隊の敷地に勝手に入ると撃たれそうなので確認できない。自然地形も残ってないようだ。でも、海岸という点は同じ。

 籠もるには、「入って出てこない」という意味がある。井樋が終わって余った水が海に注ぎ込むところなので、貴重な用水をもったいないという意味も込め「樋篭り」と言ったものか。
 「樋並み」の村が、樋の首で始まり、樋渡しを通って、樋篭りで終わるのなら、ストーリー的に完結している!
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 今回、改めて現地の様子を見てみたが、三本ある川に、水はほとんど流れていなかった。Googleマップのイメージでは判らなかったが、川と言っても細い水路だ。
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 地形的には、海岸からいきなり山になる所が多く、高さは低いため地下水にも限りがある。水不足になるというのも判る。だから溜池を作り、雨が降った時に水をできるだけ溜めたのだろう。
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 昭和期には山の上に貯水タンクが作られた。最初はひとつだったのが、4つに増えている。さらに火の首の峠の向こう側には中山ダムも出来、浄水場から周辺地域に供給されている。

 日並の田んぼはほとんど無くなり、灌漑用水の必要性も減ったが、今度は人間の生活用水が大量に必要となっている。

 昔も今も、ここは水が貴重ということに変わりはないようだ。 
 
 そうそう、何で「樋」が、「日」や「火」に変わるのかという点をスルーしてはいかん。
 ひとつは、元の意味が忘れられた場合。地名が場所を特定する記号になってしまえば、地名の意味に関心を持つことはなくなる。検地で口伝えの地名を聞き取って漢字で書く際、役人の気分で適当な漢字にされることもあると思う。また、地元のインテリ坊主や、長崎街道周辺の文化人の趣味などで好き勝手に改変されることもあっただろう。
 地元の人の話では、むかし日並には寺子屋があったという。教育を受けると上昇志向が生まれる。古い儲からない百姓のイメージを消すため、樋を日や火の字にしたとは考えられないか。

 日並は、古くはゆるい傾斜の谷いっぱいの水田に、多くの井樋が並んでいたため、樋並(ひなみ)と呼ばれたのだと思う。
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 そして時代は変わり、谷いっぱいに今度は、新しい家並みが、広がろうとしている。

【地名散歩】 長崎は、長い岬があったから?

長崎地名的散歩
04 /17 2021
 長崎の地名由来の通説は、平成まで県庁のあった長い丘が、昔は「長い岬」だったからというもの。周囲の低い土地は大半が海だったらしい。
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   キリスト教の町だった頃の想像図

 しかし、長崎生まれ長崎育ちのじげモン地名ファンとしては、これがホンマに信用してええもんか、まんず確かめで見ねばと思うわけでごわっしょ。

 ちゅーこっで、今回はナガサキの地名由来を見直してみゅーかね。
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 まず、例によって「ナガサキ」を分解。これは「ナガ」「サキ」以外の分け方は考えにくい。
 ナガは「長い」のほか、「薙ぎ」で「(崩れる)崖」の可能性もある。
 サキは「岬・先端」のほか、「裂き」で[谷]の意味もある。

 次に、それらの要素を再構築して検証するための準備を行う。
 長、崖と書いたいカードを各2枚、岬、谷と書いたいカードを各2枚、計8枚を、竹で編んだカゴに入れる。そして、

「シャッフル☆サンダースプラ~ッシュ!」と叫び、その場でグルグル回転しながら、カゴを上下左右にブッつらかしてよく混ぜる。それを天井にホタん投げ、落っちゃけて来たところを足で蹴って蹴って蹴っつらかし、カードを部屋中にゆーゆシチャカチャにバラかす!そして、色違いで重複しないよう、2枚づつ並べると‥、




上記4パターンの組み合わせができる。
そして、目が回ってクラクラし、血圧が上がる!

 では、ハアハァ‥、それぞれの可能性を考えてみよう。

①通説の長い岬
 長い岬で「長崎」という地名は、確かに各地によく見られる。しかし、県庁坂の丘の地形を冷静に見ると、それほど長い岬か?という疑問もある。金屋町辺りは丸く張り出しているし、南東側の渚の位置も、せいぜい賑町・栄町くらいまでではなかったか。
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    国土地理院 自分で作る色別標高図より

 確かに市役所から丘の先端まで歩けばけっこう距離はあるが、「長い」を、長辺と短辺の比率と考えると、そうなのかなぁ〜?となる。
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 また、古い時代の長崎の中心部は、戦国時代に領主だった長崎氏の屋敷があった中川町付近と言いながら、長い岬が地名になるのは、どオ~も取ってつけた感じがする。資料によっては、長崎氏の館が長い岬にあったと書いていたり、混乱も見られる。

 あと、大昔は建物が無かったとしても、どこから見れば、長い丘ではなく長い岬と認識できたのかが疑問。 山の上からであっても、長い岬に見える角度は限られていたのではないか。
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 現在は高い建物が建ちすぎて、昔の姿を想像するのは難しい。

 長い岬と言うなら、野母半島(長崎半島)は、野母崎の先端から市街地までが、ながあぁぁ ─────~~ い岬だ。船で半島を回り、高い所から見てみれば、そういう地形である事は古代の人にもすぐ解っただろう。長崎は、その付け根の町。

 しかし、これはさすがに範囲が広すぎるか‥。

②長い谷
 「崎」のつく地名で、「裂き」の意味と思われるところは結構ある。

 長崎港から浦上、道ノ尾そして時津まで、あまり名は知られていないが、長崎地溝帯という谷間が長く続いている。途中には、さばくさらかし岩もある。

・壱岐市郷ノ浦町渡良東にある「長崎」は、地形から見て、細長い谷の事と思われる。
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   Google3Dマップより

・多良見町東園には、小字地名の真崎がある。山の斜面が大きくタテに裂けており、長崎県の小字地名総覧によると、読み方はマッサキ(真っ裂き?)。
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 道路下の土地は、昔、上の山から流れた土砂と思われる。

・諫早市真崎(まさき)町 どう見ても岬の地形ではないので変だと思っていたが、谷なら納得できる。
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 深い谷がクランクしながら、山の上の破籠井(わりごい)集落まで伸びている。
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・長崎市大崎町も、岬らしい地形はない。
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しかし、よく見ると集落の東側が深い谷で分断されており、河口の両側にある大岩ごと真っ二つに裂かれたように見える。
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  Google3Dマップより
 「長い谷」説の問題は、長崎港周辺はけっこう広く、谷には見えないことと、やはり範囲が広すぎること。 

③崖の岬
・長崎港の入口には、神崎(こうざき)という丸く突き出した断崖の岬がそびえ立っている。
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対岸の小ヶ倉、戸町も高く切り立った崖。
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船で来た者は、まずこの間を通って港に入るが、左岸は立神から飽の浦まで、右岸は大浦付近まで、ことごとく崩壊崖だったはずだ。
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 三菱重工のある岩瀬道町周辺も、崩壊崖だらけだった。
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 身投石とも書かれた。岩が徐々に崩落する様子を、身投げ石と言ったものか。

 そういう風景は、古代の来訪者がオーッ!と驚嘆の声をあげるような特徴だっただろう。
 
・また、長崎はむかし、瓊ノ浦(たまのうら)とも呼ばれていた。
 一応言っておくが‥、いや、やっぱりやめておこう。(←葛藤)

 瓊は美しい玉(ぎょく)の事。現在の長崎港は、日本三大夜景で有名だが、昔は、山に囲まれた港の風景が、鶴の姿に似て美しかったと聞く。
 タマは、地名では美称としても使われるようだが、地名用語では、タバの転で崩れる崖のことを指すと言われる。つまり、瓊ノ浦は「崖の海辺」であり、長崎港周辺の険しい地形状況と一致している!
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・各地の海岸に「長崎」「長崎鼻」という地名を見かけるが、ぜんぜん長い岬ではなく、崩壊崖や荒磯の浜と思われる場合がある。
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    鹿児島県出水郡長島町 長崎鼻  Google3Dマップより

 「崖の岬」の問題点は、「ナガ」で崖を指すと思われる例が少ないこと。
 
④そして、崖の谷
 これは、狭い範囲を指す場合は判りやすいが、だいたい、崖に囲まれた土地は谷だ。地名の由来としては弱いと思う。


 4つのパターンを見てみたが、サキは「岬」である可能性が高そうに思える。しかし、長いか、崖か、決定的なポイントは見つからない。
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 長崎の古い呼び名は、瓊ノ浦の他にもいろいろある。それについて見てみよう。

・平安時代には、瓊杵田津(にぎたづ)と呼ばれていた。ニギ(和)は、賑やかではなく、穏やかな様子。入江が深く入り込んでいて、波が静かで穏やかという事か。
 港の背後にそびえる金毘羅山(こんぴらさん)は、瓊杵山(にぎやま)と呼ばれていた。
 しかし、語源がニギでなくナギ(薙ぎ)だったら、崖地なので「崖の港」だったかもしれない。
 
深江の浦と呼ばれた時代もあった。にぎたづと同じく、深く入り込んだ入江のことか、または水深が深いことか。
 長崎港は水深が深く、大型クルーズ船も寄港する。戦時中は、世界最大だった戦艦武蔵もここで造られた。とは言え、大昔にはそれほど深いかどうかは問題ではなかっただろう。
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 市街地のほうは、江戸時代に埋め立てたくらいなので、浅い海岸だったはず。

 他にも、瓊浪浦(たまなみのうら)、福富津、深津江などバリエーション豊富!
 玉杵名邑(たまきなむら)というのもあるが、これは熊本県玉名市のことらしいので、誤解だったのかもしれない。

瓊ノ浦、深江の浦、瓊杵田津
 これらの地名はすべて、入江の全体的な特徴を表している。長い入江の奥にある岬の呼び名が、それに取って代わるものだろうか?
 崖の岬は、地名のつけ方のパターンという点でも違和感がないし、けっこうアリなのではと思う。
 けっこうアリと言っても‥ ぐっ。 (←くだらない冗談をこらえた)
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 最後にもうひとつ。通説のように、旧県庁の丘が「長崎」の由来だったとして‥。
 旧県庁の丘の先端付近の地名は、森崎。深い森だったからと言う。それは本当だろうか?深い森が出来るには多くの水が必要だが、平坦な岬の先端に、地下水が豊富にあったとはちょっと考えにくい。崖の下なら解るが‥。立山奉行所ですら遠くから水を引いていたし、丘の上には川らしい川もない。せいぜい生活用水の井戸くらいだっただろう。
 地名の「モリ」は、もぎ取るを古語で「もる」と言ったことから、崩壊崖を意味した可能性がある。実際、丘の先端付近は切り立った崖。崩れていたはずだ。 

 だとしたら、この丘こそが崖の岬、「ナガサキ」だったのかもしれない!

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 う~ん、でもやっぱり、長い岬かなぁ~‥

【地名散歩】 植物地名 エノキ

長崎地名的散歩
04 /11 2021
 植物の名がつく地名の由来は、まず、その植物が多く生えていたからと言われる。しかし、その通りである事はほぼ無かろうと、我々、毛石町特殊地名捜査班は考えている。植物地名には、どうやら別の意味が含まれているようなのだ。

 刑事ドラマの中盤、犯人の目星はついているのに、証拠が無かったり、アリバイが崩せなかったりで、「逮捕できず歯がゆい状況」がよく描かれる。
 最後に主人公は、同僚の何気ない言葉をヒントに鮮やかに謎を解き、「犯人は(クルッ)、あなただったんですね?」と、言い放つ!

 地名の由来を探る際も、時々同様の事が起きる。複数の場所にある同じ地名の土地状況がほぼ一致しているのに、今ひとつ何かが足りず、自信を持って断言できないのでおじゃる。
 こちらはなかなか解決せず、オクラ入りになる事が多い。
 オクラ入りと言っても、ヌルヌルしたオクラ汁の中に突き落とされたりはしないので、心配はいらない!
 
 そういった決め手に欠ける例のひとつが「エノキ」地名
 エノキは、ヌメヌメしたえのき汁のえのきではなく、ほとんどが、高い木の方の「榎・榎木」と書く。

 長崎南部のエノキ地名を探したら、次のものが見つかった。

・長与町 榎の鼻(えのきのはな)
 長与の中心部にある台地の一角。最近、上にイオンタウンが出来た。
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 周囲は、以前から崩落防止のコンクリートで覆われており、崩れやすかったものと思われる。「ハナ」は、突き出した形だからだろう。
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・長与町 榎の迫(えのきのさこ)
 長与ダムのそば。高い崖が、全面コンクリートで覆われている。「サコ」は、ダムの部分を含め狭い谷だったからに違いない。
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・長崎市現川(うつつがわ)町 榎木(えのき)
 現川駅方面に向かう県道の途中。土地の形状をよく見ると、川岸の形がここだけ不自然。
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 むかし道路の上方が崩れて、その土砂が川のそばに積もったと考えられる。
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  Google3Dマップより

・大村市中岳町 榎茶屋(えのきのちゃや)
 川のそばに榎が木陰をつくる茶屋があったと伝えられる。実際に榎の木が立つ河川公園がある。ただ、お節介な人が「榎茶屋なのに榎が無い」と言って後世にわざわざ植えるような例は、間々ある。
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 公園の横の道路には河岸段丘の崖が続き、やはり全面コンクリートで覆われている。
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・諫早市高木町深海古場 榎堂(えのきどう)
 山中の集落で、斜面に階段状の丘が突き出した土地。
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 周囲や、段々畑のあちこちは、現在も小崩落を繰り返している。
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・飯盛町古場 榎原(えのきばら)
 よくは判らないが、狭い谷の下に当たり、崩れて流れた土砂がたまって一段高くなっているようにも見える。
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  Google3Dマップより

 共通点は、お察しの通り、たぶん「崩れやすい所」

 実際に現在も崩れていたり、崩れないよう、崖全面を必殺コンクリ固めしてあったり、よく見ると、むかし崩れたと思われる地形だったりで、状況はほとんどクロ!

 エノキの「エ」は、壊(え)か、崩(く)えのどちらかの意味だろうと思うのだが、他に類例が見当たらない。クエは、ケに変化していることが多い。
 江(え)で、水との関連も考えたが、ほとんどが適合しない。

仏教語の金剛不壊(こんごうふえ)は、ダイヤモンドのように硬く壊れないという意味。古くから「エ」は壊れるの意味で使われていたと考えられる。

 角川 新字源によれば「壊」という漢字の元の意味は「土が崩れる」だ。

 エノキの「ノキ」は、次の意味が考えられる。
①「軒」でヒサシのように突き出した地形。
②「退(の)き」で、崩れる崖地。
③あるいは「〜のキ」で、単にその場所を指す。
 これは、一応どれでも意味は通る。

 つまり、エノキの意味は「壊・退き」というところか。
 しかし、エノキ以外でエのつく崩壊地名が見つからない。

 状況は判っているのに、決め手がなく、モヤモヤ〜ンとしてイイイイイイ〜〜!!となる。

 「犯人は、榎木さん、やはりあなただったんですね?」と言える日は、いつのことだろうか。

お試し中古ランドナー

軒下ラボ ~自転車研究処
04 /07 2021
 2010年に、ネットで見つけて即買いした、アラヤ フェデラル。
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 ランドナーという旅自転車のテイストをビギナー向けにお安く提供した製品で、むかし自転車少年だった貧乏中高年が、まんまと飛びつく仕様だった。

 本所のドロヨケを加工して取付け、日東のランドナーバーとキャリアを付け、シビエの角ランプを付け、カゴを付けた。
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 通勤にお買い物、島原半島一周、大村湾一周、多良岳一周と、頑丈で頼れるため大活躍した。しかし、他の自転車と比べ、重くて硬い車体がネックで、だんだん乗らなくなる。傷みも進んだため、2018年の秋、分解して小屋に保管した。
    
 自分は、小学生の頃に自転車で日本一周するサイクル野郎という漫画を読んで以来、ランドナーには憧れのようなものがある。今でも気に入ったものがあれば乗りたいと思うので、たびたびネットで情報を探していた。

 そんな折り、ヤフオクで国内メーカーの中古ランドナーフレームが目に入り、27分考えた末、競り落とした。
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 散歩用自転車は、自分の体格と、ストップ&ゴーを繰り返す使い方を考慮して、タイヤが小さめの26HEサイズで行くことを数年前に決めた。(小径車除く)
 ランドナーも同じサイズにしようと考えていたのだが、今回のものは、フェデラルやママチャリと同じ26WOサイズ。

 じゃあ、なぜこれにしたのか。それは、フェデラルの部品が使えるので、本物のランドナーの乗り味がお安く試せるからだ!
 「貧乏金無し作戦」と名づけた!

 個人売買でなくショップの出品だったので、販売証明書もちゃんとある。サビや小傷はあるが、パイプの中にドロ蜂やうなぎが住んでいたり、真っ二つに折れていたりという事はなかった。

 持ってみると、明らかに軽~い!
 そして、トップチューブが完全に水平なホリゾンタルフレーム!
 これはこだわりなので、(>ω<)うれしい!

 フェデラルはスローピングと言って、トップチューブが斜めなのが一番の不満だった。クロスバイクやMTBなら問題ないが、ランドナーはやっぱ水平でないと、萌えない!
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 とりあえず、有り合わせの部品で形にしていく。ブレーキがついたら近所を周回して具合を見る。
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 クランクは、700Cの改造ツーリング車のもの。そのフレームも分解保管中。700Cはもういいかなと思うのだが、なんか捨てきれずにいる。

 ドロップハンドルを、横ハン部分が後方に曲がり込んだ変わったものにしてみた。体に近いので手前を持ったときの姿勢が少し楽になる。ヤフオクで購入、台湾から送ってきた。
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 少しづつ、だんだん出来上がっていく。貧乏なのにディアゴスティーニの雑誌を買ってしまう人の気持ちが、少し判る気がする。
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 例によって、とまり木サブハンドル!上体を起こせば楽ちんに流せて、前傾気味で使うと風の抵抗を減らせる。残り物パーツでいろいろ試してみる。
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 この台湾ハンドルはパイプ径がφ22.2なのでMTB用シフターが使える!

 問題なのが、リヤハブのエンド幅。フェデラルは135mmで、今回のは130mm。え~と、E=mcの2乗で、8✕1は8だから‥ うん、5mm狭くて入らないことになる。

 精度のよくないフレームだとアッサリ入ることもあるが、今回のはちゃんと出来ていて無理だった。 

 ハブを130mmのものに交換するのが確実だが、スポーク完全バラシなど、ウルトラ七面倒くせい!

 ハブの端に入っているスペーサーを、5mm短いものに入れ変えればまずはOKなのだが、それだけでは車輪の中心位置が2.5mm横にズレてしまい、高速時の安定性とブレーキの効きに問題がでる。
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 そこで、これの出番。
 振〜れ〜取〜り〜機〜!
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 これは、走行の振動や衝撃によってスポークが緩み、車輪がよんゴよんゴ振れるのを修正するための専用工具。
 スポークを一旦ゆるめ、左右の締め込み量を変えれば、中心を正しい位置にずらすことが可能だ。2.5mm程度ならスポーク長はそのままで大丈夫のはず。

 泥よけは、輪行で分割脱着できるフルカバータイプがオマケで付いていたが、とりあえず無しで行く。後輪のシートチューブの部分だけは、ジャマにならないので付けている。
 チェーンも、サビないクロムメッキの安価なものをお試しで使ってみた。
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 いろいろ用事があったり、畳でゴロゴロしていたりで後まわしになることが多く、なかなか作業が進まなかったが、時々思い出したように近所をうろうろ走り、データを集め、調整を行った。

が、そのうち半分忘れられ、コロナもあって、長いこと軒下に放置‥。

ああ、きょうは天気がいいので、久し振りにランドナーで‥、
あ゛あ゛~っ!チェーンがぁ〜!チェーンがぁ〜!
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 茶色いサビの、ネックレスやぁ〜!!
 
 仕方ないのでサビ取りを試みたが、次から次にサビ汁が出て止まらない。よく見ると、メッキ面にサビが浮いているだけでなく、金属の素地自体が腐蝕しているようだ。これはヒドい!
 私は、クソぼろチェーンをももくらかして、ゴミ箱に投げた。
 
 2020年の冬、ご近所パトロール専用車から、ようやく遠乗りデビュー!
 とは言っても、諫早市内を往復40キロに過ぎないのだが‥。

 いつもの本名川沿いの堤防道路
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 途中の砂利道もぜんぜんOK!ポジションを調整しながら進む。

 ランドナーは、ガンガン走る自転車ではない。青空の下、雨の中、いろんな荷物を積んで、のんびり次の目的地へ向かう。人生のように。
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 でも、イザとなればけっこう速い。 そんな感じがいい。

 帰り道。
 家まであと12キロの地点で、右足付近からポクンッ!という変な音と感触がして、ペダルが外側にズルン、とズレた。
ええ〜〜っ!!何何?

 ペダルを靴の裏で押さえ、何とかバランスを保って路肩に止まる!
 アルミのペダルは地べたにカラ〜ンと乾いた音を立てて落ち、その場で死亡が確認された。
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 なんと、ペダルの軸が折れている!こんなのは初めて!
きっと、運動不足でさらに太ったからに違いない。それもこれもすべて、うんコロナのせいだ!

 近くのホームセンターに行ったが、ママチャリのペダルは無く、ペダルを仮固定する方法も見つからない。
 万事休す!

 しゃくり上げながら家に電話をして、迎えに来てもらおうと思ったが、それによって晩飯が遅くなるのもイヤだ!

 途方に暮れて日も暮れたが、よく考えたら、シャフトは折れたものの、大半は残っている。
ハッ、そうだ! 
 私は、シャフトにべろんべろん付いたグリスを拭き取り、暗くなった田んぼのあぜ道で「棒だけペダル」を漕いで走ってみた。3分間の猛特訓で、ゆっくりなら特に問題なく走れるようになり、おうちに帰ることができた。

 「あきらめなければ、夢はかなう」という事だ。(いや違うだろー!)

 先日、やっとこのクランクに使えるチェーンガードを見つけた。700Cツーリング車の時からの悲願だった。もうこれで、ズボンのすそをボッロボロに噛まれなくて済む!
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2021年4月現在、中古の寄せ集めランドナーは、時々出かけながら、まだあれこれマイペースでお試し中!

悪疫調伏!

日々の事
04 /01 2021
 散歩記は、基本的に趣味やどーでもいい事をゆる〜く好き勝手に書く場なので、社会的な問題をエラそうに述べたりはしない。
 しかし新型コロナについては、もういい加減、我慢の限界灘を越えて大陸が見えている!この忌々しいクソウイルスを早く追い出すため、国民は一丸となって協力する必要がある!

 緊急事態宣言が解除されたら、今度は感染第4波が来たとの報道。油断すれば即、リバウンドだ。シバワンコならいいが、リバウンドは困る。
 どうだ!苦しいだろう!

 ここで気を抜いて「かくけこ」になってしまわぬよう、今一度ふんどしを締め直さなければならない。でも実際はふんどしなどしめていないので、代わりにパンツを引っ張り上げて尻に食い込ませ‥、いや、何か論点が違う気がする。

 人類は遥か昔から何度も何度も疫病と戦い、その都度、犠牲を払いながらも乗り越えてきた。今回も必ずや勝利して早急に平穏な暮らしを取り戻すべく、悪疫調伏(あくえきちょうぶく)のための心得を、ここに記す。

【1】敵を知り己を知れば百戦危うからず

 これは、たびたび引用される有名な格言。 
 「敵の尻と自分の尻を見せっこすれば、ホワワ~ンとした気分になり、戦いの危機も去る」という意味ではない!

 まずは敵をよく知ること。
・そもそもウイルスとは何か。
 かんたんに言うと、病気を引き起こす小さくて危険なヤツ!小さくて危険なヤツと言えば、壱岐の公園で私の足に噛みついた凶暴なチワワ!飼い主が若いおねえさんでなかったら、晩メシの‥ 何の話だったかな?

・ウイルスと細菌との違い
 大きく異なる点は、カタカナか漢字か。カタカナだと何か西洋かぶれな感じで親しみが湧かない。日本カルチャーの良さを忘れちゃあノンノンだ!
 細菌は細胞を持ち、自分で増殖するが、ウイルス遺伝子情報とそれを包む外殻だけで構成されており、生物の細胞を宿主として増え、そして細胞を傷つける。
 どうやら構造的には、ガシャポンの容器にメモ紙を入れたようなものらしい。(そうかなあ?)

・そしてサイズ。どっちも肉眼で見えないほど小さいが、ウイルスは細菌の数百分の一程度ともンのすごォ~く小さい!
 ちょっと例えようがないが、強いて言うなら「俺の弁当の方が肉が小さい!」とイジケて一週間くらいネチネチ言い続ける男くらい小さい、と言えば伝わるだろうか。

 しかし、人に取り憑いて悪さをするとは、まるでタチの悪い悪霊ではないか。いや、逆に悪霊の正体がウイルスや細菌だったと言うことか。

 最新の研究では、ウイルスとは、「生物と無生物の境界領域に存在するもの」と考えられているそうだ。
 
 要するに、イキののオで、イキノでなベンベン!
と、いうことだろうか?
 それとも、腹を壊してかなりヤバい状態の時、ウ◯コとHey!は、発射口の内部で混じり合って圧縮され、固体でも液体でも気体でもない超臨界流体の状態になっているという仮説を以前書いたが、そういうものなのか?
 いずれにしても、マトモな生物ではないので「飼えない」のは間違いない。
 
敵を知ったら、次は己(おのれ)を知る番。
 まず市役所へ行って、戸籍謄本を取る。本人であることが確認できたら、チューリップハットとパンタロン姿で、自分探しの旅に出よう。
 北海道やインドなどがよさそうだが、このご時世なので、県内かライブカメラでのオンライン旅行でいいだろう。

【2】戦いの心構えと準備

 正しい知識を身につけても、強い心と丈夫な肉体がないと、戦いに臨んでも勝てない。心(メンタル)と肉体(フィジカル)の両面を充実させる必要がある。

・まずは、コロナには絶対に負けん!という強い信念を持つことが肝要だ。
・そうしたら次に、遺書を書いておこう。
 この歳でこの不摂生な体でコロナに罹患したら、コロリと死んでしまうに違いない。先に言っておくが、さようなら皆様、今までありがとう。
・せめて極楽浄土へ行けるよう、信心も必要だ。般若心経を全身に書いて、そのまま外へ出ると確実に逮捕されるので、せめてパンツは履きたい。

・身辺整理もしておくこと。
 私の場合、パソコンの中のエッチなファイルや見られたら恥ずかしい自作のポエムや萌え絵などは、外付ハードディスクに保存している。そして友人と、どちらかが死んだら、残った方がハードディスクを引き取り、内容を速やかに消去し、ディスクを物理的に破壊することを約束している。

 しかし、うまく回収できなかった場合も考慮して、ハードディスクにその友人の名を書き、いかにも「これは友達のです!」という状況を装っておこう。
 「トモダチノ作戦」と名付けた。 (前にも書いたかなぁ~)

・武士道の真髄とは、聞いた話では「死ぬこと」らしい。 まあ、生きていても、どうせこの先いい事も無さそうだし、もう、どうでもいいやね。ヘヘッ‥と、投げやりになってはいけない。生きていれば、何かもらえるかもしれないからだ。
・人は恐怖を感じる事によって疑心暗鬼になり、それが、仲間割れや自滅を招いてしまう。
 恐怖に負けない強い心を持つために、まずは部屋の壁に平常心と書いた紙を貼るとよい。
 間違って平城京と書くと、それは単なる歴史オタクだ。

・しっかり心構えができたら、身体を整える。
 ハードなトレーニングを長時間している人のビデオを寝ながら鑑賞し、自分もやった気になるという、エアトレーニングがおすすめ。

・コロナの野郎は、人の動きを制限して太らせるという、恐ろしい攻撃を仕掛けてくる。対抗手段として、体重計を20キロくらい軽く表示するよう細工をしておく。これでOK!あるいは、お菓子のない無人島に渡り、一生そこで過ごそう。

【3】攻撃の前に、防御を固める

 相手は、実態を見せず忍び寄るヤバいやつだ。決してスキを見せてはならない。手洗い・消毒をはじめ、しっかりと防御する方法をマスターしておこう。

・芸能人などは、自宅で撮った手洗いの動画を公開して、注意喚起に一役買っていたが、我々平民も、工夫次第で人目を引くコンテンツを発信する事もできるだろう。しかし、勘違いして「お手洗い」の動画を公開し、万が一変なものが写っていると、お縄を頂戴するので、充分注意が必要だ。

・コロナの攻撃を防御し、毒の拡散を抑制する手段として、マスク装着は一定の効果が認められている。
 ただ、マスクと言っても様々なものがある。仮面舞踏会で使う蝶のマスクなどは、口をまったく覆っていないので効果が疑問だ。不織布のマスクをした上で、蝶のマスクをしよう。
 
・動物を介して感染すると言われるので、ペットの犬猫にもマスクをさせよう。
 柴犬がイジケてドン暗い顔をするのは目に見えているが、今回ばかりは仕方がない。ただ、犬はぞうさん程ではないがお鼻が長いので、人間用のマスクはフィットしない。そこで考えたのが、靴下の先っちょを切ってひもをつけ、犬用のマスクにする方法だ。
 しかし、履き古した靴下を使用した場合、なぜか犬が泡を吹いて死んでしまうので、細心の注意が必要だ。(やめろやめろ!)
 
・日本では古来から、疫病除けの護符が家の入り口に貼られていた。牛頭天王、鎮西八郎為朝、元三大師、蘇民将来、アマビエ、赤べこ‥
 現代なら、コロナの野郎が苦手な、エタノール、石鹸、コロナワクチン等の護符を貼ると効果があるかもしれない。(本物を使え!)←キートン山田の声で

 ワクチンが開発され、日本でもやっと摂取が始まったが、我々平民の番は、まだ先のようだ。だからと言って、焦ってペクチンやボクチンなどを摂取しても効果はない。しっかり予防対策をして、泥舟に乗ったつもりで待とう。

【4】さまざまな攻撃

 防御ができたら、いよいよ攻撃だ!
・コロナは一般に「新型コロナウイルス」と呼ぶが、まずこれを残念な名前に変える!
 新型はもったいないので「旧型15年落ち」にする。注意点としては、古いほどよかろうと30年落ちとかにすると、逆にプレミアがついて価値が上がることがあり、敵の思う壺だ。 リアルな貧乏感が漂う、15年落ちくらいがよい。

 そして、コロナの前に「うん」をつけて、「うんコロナ」にしてしまおう。
いや、略して「うんコロ」でいい。

 ウイルスはもう、「うい~っす」でいいだろう。
 「旧型15年落ち うんコロうい~っす」
 もはや、何ひとつ怖い要素はない!うむ、完璧!

  いや、ふざけているのではない!これは日本古来の「言霊(ことだま)」を利用した恐ろしい呪術的な攻撃だ!

 残念なアホアホネームをつけられた子は、就職もできず残念な末路を辿るという。心無い名前やあだ名は、人をメンタル面から傷つけるのだ。
 だが今回は、それが狙い。心を鬼にして、みんなで「うんコロ~」と呼ぼう!

・また、うんコロは人の細胞を宿主とするので、立場的には店子(たなこ・借家人)であり、大家には逆らえないはず!
 顔に膏薬を貼ったやり手ババアに扮した女優を連れてきて、「頃奈さん、先々月の家賃も、まだもらってませんよねェエ~!」「払えないんなら、出てってくださいよォ!」と、ネチネチ怒鳴りつけることで、うんコロを精神的に追い詰めることができる。

・これらも敵にダメージを与えるが、やはり直接効くのは、Bad Words、つまり、悪口

 うんコロは、死ぬほどちっちゃいので、シャーレに入れたうんコロの周囲をたくさんのモニターで囲み、今時のギャルたちをリモートで映して、「何コレちっちゃ~い!アハハハハ」「恥ずかしくないの~?」「バッカみた~い」などと言わせることで、うんコロの自尊心を大きく損なう効果が期待できる。
 ただ、世の中も変わっているので、人種、宗教、性別、容姿、屁の臭さなど、センシティブな部分に触れないよう注意が必要だ。

 そして、頃合いを見計い、波状攻撃でとどめを指す!
や~い!うんコロ うんコロ ガシャポンに入ってろバーカ!おまえ細胞ねーんだろ!それで生きてるって言えんのかよ このクソ虫め!あ、虫は生きてっから虫に失礼だな 虫に謝れ!エタノールかけんぞコラ!株式会社コロナにも謝れ!このトンマ、あばずれ、唐変木!こっち見んなよ失せろ!この大ウソつきの上級非国民め!何の役にも立たない尻の毛!いっぱい突起出してんじゃねえ、この変態タワシ野郎!棒つけて便器にこすりつけっぞ!だいたい生きものじゃないやつは呼んでねえんだよ!バーカ!バーカ!血統書付きのバーカ!人の細胞に憑依してんじゃねえ!この豚のケツ!何でおまえが夜中まで会食してんだ!税金泥棒!肥溜めに落ちろカス!なにが老害だクソチンピラの若造が!なに変異してんだバカヤロウ!トヨタコロナにも謝れ!土下座しろよ ダッサ!男らしくねえな、ダッサ!なめてんじゃねえぞ!このウンコ野郎!会社辞める時どうするか見てろよ!覚えとけオンドリャアアアアアァァァ‥!!

 ああ、ちょっとスッキリした。最後は書いててだんだん情けなくなってきたけど。これは諸刃の剣だったな。

 きょうはとうとう、まん延防止等重点措置とやらが大阪府に適用された。変異ウイルスも急激に広がっている。
 リーダーが頼りにならないなら、とにかく自分に出来る対策をしっかりやるしかない。

・何か触った手で、目・鼻・口を触らない。腹が減っても指をしゃぶらない。
・知らない人が側に来たらジャンプして逃げ、こども110番の家に駆け込む。
・想像力も必要。「この便器のブラウンチップにウイルスがついてるかも!」 
・ストレスが溜まると免疫力も下がるので、芋を食ってガス抜きをする。
(ちょっとちがーう!)

 我慢して生き延びるか、我慢せず危険にさらされるか。
 
 そう、ハレの日は必ず来る。
 
 

Ramblingbird

長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。