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M田くんの自てん車GET作戦

昭和ながさき追想記
09 /27 2013
私が小学5年生の時、家から少し離れた地区に住んでいた
1学年下のM田くん(仮名)は、以前から欲しがっていた
自転車を買ってもらった。

その頃流行りの自転車といえば、セミドロップハンドルで
フラッシャーがついたりしたカッチョEものだった。
FLASHER01.jpg

ところが、おとうさんはM田くんの希望を聞かず、自分で
勝手に選んで買ってきた。




M田くんの自転車は、
ホレッ、こ~んなやつ。
M_TAGOU.jpg

幼児車をそのまま大きくしただけのような、
4年生が乗るには情けないものだった。

M田くんは目に一杯涙を溜め、顔を真赤にして抗議をしたが、
おとうさんは聞き入れなかった。セミドロップの自転車は、
危険で不良が乗るものだと思っていたらしい。

KAKKOETA.jpg

仕方がないので、M田くんは4年生なのに、大きい幼児車に
乗る事になった。こんな自転車に愛着が湧くはずもなく、
いつも乱暴に扱っていた。

降りる時は、わざと倒して、倒した自転車を踏んでいた。

鉄棒の下を走り、自分は鉄棒に飛び移って自転車だけ
そのまま走らせ、フェンスに激突させていた。

「せっかく買うてもろうたとやけん、大事にせんばねー」
と言っても、聞かなかった。

しかし、それがM田くんの計画通りの行動であった事が、
あとで判明する。

おとうさんに「これが古うなって壊れたら次はセミドロップ
の自転車ば買うてやる」‥と言われたらしい。
「壊れたら」しか聞こえなかったとみえ、壊せば新しいのを
買ってもらえると信じていたようだ。

しかし、こんな不憫な自転車もなかろう。買って何ヶ月も
しない内に、大きい幼児車はボコボコになっていた。

しまいには、自転車で階段を下りはじめた。
「危なかけんやめんね」とみんな言ったが、M田くんの目は
完全にすわっていた。もう少しじゃ~と言わんばかりだった。

家の辺りから、バス道路を300mほど登ったところに、
谷間へと下りる長い階段があった。50段以上はあったと
記憶している。

ある日、救急車がサイレンを鳴らし、そっちの方へ向かって
走っていった。
何事かと思っていたら、後になって、M田くんが自転車で
階段から落ちたが怪我は大した事ないという話を聞いた。

落ちたんじゃなく、下りたんだと確信した。

大きい幼児車は折れ曲がり、修復は不可能だった。

M田くんのおとうさんは激怒し、「お前のごたる馬鹿は
危なかけん、もう自転車は乗しぇーん!」と言った。


それから、M田くんは中学になるまで、本当に自転車を
買ってもらえず、家の横にある空き地でひとりで野球を
して遊んでいた。

ボールを高く投げ、バットを拾って高く打ち、守った。
「打ちました!ホームラン!」M田くんの実況の声が、
青空に虚しく響いた。


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Ramblingbird

長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。