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口之津の「おこんご」は、火山噴火に由来するか

南島原市口之津町は、福岡、佐賀、長崎、熊本の四県に
囲まれた、島原湾とその奥に広がる有明海の入口に位置し、
古くから貿易港として栄えてきた。
SPA010015.jpg

明治期には、月がァ~出った出ぇた~の、三井三池炭鉱の
石炭輸出港として大いに賑わったが、大牟田に新しい港が
出来てからは、急速に衰退。閑古バードが鳴きまくった。
 
バタバタ(( \(◎e◎)/ ))バタ < ヒマ~! ヒマ~!


1705PA130151c.jpg

その後、炭鉱会社の雇用対策で高給取りの外国航路船
町となり、一時は活気を取り戻す。しかし次第にその勢いも
消え、現在は農業と漁業が中心の静かな町となっている。


ここ口之津の早崎半島 南大泊(みなみおおどまり)地区に、
苧扱川(おこぎがわ)と書いて「おこんご」と読む、
スーパー変なかホイな謎地名がある。
1705DSCF5391.jpg

九州では川をコ、ゴと読む例は多い。オコギはオコンに
音便し、「オコンゴ」となる。これは読み方の問題。

何十年か前までは、おこぎがわとも言っていたらしい。


さて、苧扱(おこぎ)とは何だろうか。

口之津の歴史と風土 第一号に掲載の、「オコンゴ考」
西光知巳氏著 によると、

苧(お)は苧麻(からむし・ちょま)という種類の麻。
「扱(こ)く」は、しごく、しごき取るという意味。


昔は、苧麻の繊維から衣類を手作りするのが普通で、
この川で苧麻をしごいてほぐしたため「おこぎ川」と
呼ばれたのではないかと考察されている。


なるほどそうだったのか~!と納得していたのだが、
自分でも地名について調べるようになってからは、
その由来の多くが、「地形や土地の状況によるもの」
である事を知る。

今回、「おこんご」も、地形由来で考えてみた。


まずは場所を確認。

ここには、苧扱川(おこんご)の地名が二ヶ所と、
苧扱平(おこぎびら)の地名が一ヶ所ある。
hayasaki001c.jpg 
(※国土地理院 電子国土web地図より 一部小字地名を追記)

なぜ同じ地名が、ちょっとだけ離れた所にふたつあるのか。
これがきょう最初のミステリーだ。

① ひとつ目の「おこんご」は、おこんごバス停背後の
丘の上方。
国土地理院の地図では、ごく細い川が流れているようだ。

②ふたつめの「おこんご」
は、新しいバス道路沿いに
流れる川のほとり。 この川も「苧扱川」と言うらしい。

Googleストリップ小屋ビューで見ると、現在はコンクリートで
固められた水路であり、それほど水量が増える川には見えない。
緩やかな丘をほんの数百メートル下って海に注ぐだけ。


苧扱川(オコギガワ)の地名を解読してみよう。

頭につく「オ」は、よく判らないので猿まわしにする。

「コギ」をGoo辞書で調べてみる。動詞なら「こぐ」だ。

「扱ぐ:草木を根のついたままそっくり引き抜く。根こぎにする」
とあった。

うれ?何か違う。

「扱く:細長い本体に付いている物を手や物の間に挟んで引っぱり、
 こすり落とす。しごく。「稲を―・く」


そうか、「扱ぐ」と「扱く」では、微妙に意味が違うとですたい!


「草木を根こそぎ引き抜く川」と言えば、それは大雨で
増水した川の事だろう。

しかし、どんな川でも普通、増水すれば草でも岩でも流される。
地名になるような特別な現象でもあるまい。
う~む、何だろう。


③「苧扱平」は、バス停後ろのおこんごから少し東側の丘の上。

長崎県の小字地名総覧には「おこんごびら」と書いてあるが、
地元の人は「おこぎびら」と呼ぶそうだ。

航空写真では、特に変わった点は見えない。

ヒラは傾斜地のこと。「コギヒラ」だと、

「草木を根ごと引き抜く傾斜地」となる。


んん?

お、おかめひょっとこして、それって地すべりの事では?


だとしたら、「おこぎ川」は、川が増水してあふれ、畑の
じゃが芋を根ごと引き抜くという、氾濫地名か?


バス停の所のおこんごは斜面を流れるので、水量が
少なくてもスピードがあるだろう。

道路沿いのおこんごは、川がカーブしたところの外側。
決壊した川の水があふれ出す方向だ。


しかし、この辺りはのどか~な風景のせいか、地形も
緩やかな印象があり、水害地とは思えずにいた。

ところがある事を思い出して、考えが181.37度変わった!


たしか、口之津の早崎半島は、火山の溶岩が固まった所に
土砂が積もった土地のはず。表層が滑りやすいのかも!


それに、火山灰の土壌は水はけがよく、ザンザカ流れる!


ウェルカム トゥ ようこそ ジオパーク!!

1706shimabara_jiopark_01.jpg 
↑ジーナちゃん      (島原半島ジオパークHPより)      ↑ジーオくん                    
 


おお!何となく つながってきたのです。

そして「口之津 地すべり」で検索してみて、さらに驚いた!

口之津を含む南島原は、やはり地すべりが起きやすい地層で、

口之津地すべりという専門用語まであるそうだ。


「エーッ!すっごーい!」

これは面白くなってきたぞ。
ウピョピョピョピョピョ!(←何の生きものか不明)


今から約430万年前、口之津付近の海底火山が噴火して、
水蒸気爆発を繰り返した。火山灰と土砂が大量に降り積もり
徐々に冷え固まって島原半島が形成されていった。

1707giopark_hantou01.jpg 

色々あって、おこんごで地すべりと川の氾濫が起きた。
(はしょりすぎ!)

「おこんご」は、遥か古代の噴火に由来する地名だったかも!


チャララ ラ~ララ チャ~ラララ~ (←テーマソング)


そして我々調査隊は、実際の地形と状況を確認するため、
口之津へフィールドワークに出かけた。


昼飯は小浜の入潮で、小浜ちゃんぽん玉子付き。
1705DSCF5354.jpg
鶏のあっさり出汁ベースに、スパイスが効いている。
量も充分でうまかった。ホースウィン!

嫁、いや助手は、ちゃんぽんとおにぎり&ぎょうざセットを
頼んだが、こっちも充分な量だった。
1705DSCF5357.jpg 

我々の体型を見て「こいつら食う!」と判断し、
増量してくれたのだろうか?

(↑うれしい被害妄想)


原一平になって口之津に到着し、調査開始。

まずは、バス停近くのおこんごから。
1705DSCF5412.jpg

民家の横から登る道があった。
航空写真では判らなかったが、かなりの激坂!
1705DSCF5393.jpg

これは予想外だった。息がきれる。

普通に野生のキジを見るのは、壱岐の島以来。
1705DSCF5399C.jpg 

美味いのだろうか‥。ゴキュ!


水路は川と言うより側溝だったが、大きな足場石が
流されかけたり、畑の一部が抜け落ちたりしていた。
 
増水時は、水の勢いがハンパではない事が判る。
1705DSCF5401.jpg

まわりの畑は表面が傾斜している。

あまり手間をかけずに斜面を段々畑にするとそうなるが、
水はけをよくするためにわざとしているのかも知れない。

水源は、丘の上の大きな溜池の方向らしい。
ふだんはほとんど水は無く、溜池の水位が上がったら
ここにあふれるのだろう。

1705DSCF5405.jpg

水面からあふれた水ではなく、池の側面から出るのなら、
水圧がかかって、勢いもプシャーとすごいはず。


次に上流のおこんご。新しい道路が通り、以前とは様子が
違うのだろうが、川のルートはほとんど変わっていない。
1705DSCF5417.jpg

川、というよりここも水路程度の幅。コンクリートで
固められて自然の川だった頃は想像出来ない。
だいたい、1キロも無い短い水路だ。

周辺では、畑の赤土が道路に流出している。
丘の上から、傾斜した畑の表面を雨の大部分が流れて
きたら、それもほとんど川に流れ込むだろう。

う~ん、水は思っていたより多いのかも。

右奥の崖は妙に切り立っている。氾濫した川の水で
徐々に削られたのでは無かろうか。


それから、早崎海岸の方へ寄り道して地層を見る。

早崎漁港、東側の海岸
1705DSCF5425C.jpg

漁港から西に進んだ海岸
1705DSCF5428.jpg 
すべて大昔に流れた溶岩。

早崎玄武岩と言うそうだ。
 
1705DSCF5429.jpg

瀬詰崎(せづめざき)灯台
1705DSCF5437.jpg

いつ来ても釣り客がいる。ここの魚は、早崎瀬戸の潮流が
速くて運動量が多いため、ベリーウマウマらしい。

灯台への通路の踏板は、鉄のグレーチング。
朽ち果てて落ちたら、新品に替えてもらえるようだ。
1705DSCF5436.jpg

オソロシアン踏板と名付けた。

瀬詰(せづめ)は、瀬(岩礁)が詰まって見えるからだろうか。
それとも、獣の爪のようだからだろうか。
1705DSCF5435C.jpg


早崎半島は、このような硬い溶岩の上に乗っている。


それから、丘の上に登る。

じゃがいも畑の間に、撤去できなかったと思われる
溶岩が露出している。
1705DSCF5449.jpg 
半島全体が火山の堆積物である事がよく判る。


頂上には大きな溜池。大量の水をたたえている。
1705DSCF5455.jpg 

野田堤(つつみ)と言う、江戸時代に作られた灌漑用水池だ。

丘の規模と比べてずいぶん大きな池だと思っていたが、
調べたら、すべて人が作ったものだった。

人工なので、水量に見合った大きな川は存在しない。
大雨で池の水があふれた場合、地形から見てその多くは
南側の、おこんご方向の斜面に流れると思われる。

そして、畑と谷を駆け下った水は、草木を引き抜きながら
苧扱川へ流れ込み、護岸を削りながら海へと向かう!

おこんごの増水時の水の流れ予想図


hayasaki_stream1.jpg
(※国土地理院 電子国土web地図に追記) 

やはり、ほとんどが苧扱川へ集中するでごんす!!


昔、皆で協力して作った溜池だが、便利になった反面、
思わぬ水の被害を生む一因にもなったのではないか。

もちろん、現代の技術で氾濫の対策は行われているはず
だが、許容量を超えてあふれる事は今でもあるだろう。


それから、気になっていた都波木(つばき)神社に寄る。

13年落ちのクルマの両側を雑草に擦りながら進むと、
石の祠があった。新車だったらもう泣いている。
1705DSCF5471.jpg

崖のキワに建っており、下方には集落がある。

伊勢の都波岐神社を勧請したのだろうか。
祭神は猿田彦命。(さるたひこのみこと)
1705DSCF5461.jpg

狛犬のように石の猿がいる。猿田彦は漢字で猿と書くが、
実際は猿とは関係ない。しかし民俗学的には面白い。


ツバキのツバは「ツバける」で崖崩れを意味する。

昔は、崖崩れや地すべりの危険がある所に、ツバキ神社が
祀られたのではないかと思う。全くの想像だが。

サルは地名用語ではザレ・ズリの変化で、石がゴロゴロした
崩れやすい崖を指す。これも偶然にしては揃い過ぎている。


最後に、丘の上の苧扱平(おこぎびら)へ向かう。

半島を回り込んで登り、やっとそれらしい道に出た。
しかし、何か様子がおかしい。

道が狭いのはどこもだが、ここは妙に荒れた土地だ。
1705DSCF5474.jpg 

「んむむう~、これは何かヤバそう!」

生物は危険を察知すると、助かるために体が反応する。
高い所で足がガクガクしてチビるのも、それ以上前に
進まないようにして、落下を回避するためらしい。


私は、退屈と満腹で眠くなった助手をクルマに残し、
歩いて曲がり角の先の様子を見に行った。
1705DSCF5491.jpg

さらに荒涼とした光景がそこにあった。

上の畑は長いこと使われていないようだ。
1705DSCF5488.jpg

表面は赤土が洗い流され黒い砂礫が残っているのか?

見晴らしはいいが、足元が気になって落ち着かない。
この下に行ってみる気にはならない。
1705DSCF5482.jpg

大量に重ねられた平石に、モルタルを流しただけの、
見るからに不安を感じる道。
1705DSCF5487.jpg

軽トラの転回用コンクリートは割れていて、下に石を
詰めて谷へ滑り落ちないようにしてある。
1705DSCF5480.jpg

奥の方では、草木がなぎ倒されている。
こ、これはっ!まさかの、
1705DSCF5485.jpg 

「おこぎ」!

ううーむ!やはりここは、オコギビラ!

オコギは水害地名に違いない!


我々は、おこんごの調査を終え、小浜町のカームで
雲仙ミルクソフトとあまおうソフトを食べて帰った。

人が見ているので、うまうまダンスは踊れなかった。
おみやげはいつもの、割れた湯せんぺいの端っこ。


さらに確認のため、「オコンゴ考」に登場する久留米市
池町川付近の苧扱川町(おこんごがわまち)
を調べた。
やはり低地で氾濫する事が多かったらしい。

苧扱川(うこくがわ)のある香川県観音寺市周辺は、
台風による土砂・浸水被害が多い所だった。


ひとつ、猿まわしにしていた問題が残っている。
オコギのは何の事か?

それは、

たぶん‥

意味は、無い!

コギの地名用語を名詞化するため、当時よく知られた
苧扱ぎ(おこぎ)という言葉を使ったに過ぎないと思う。

それに、オコギ以外にもコギ地名はあり、土地の状況が
よく似ているから。


長崎県の五島列島に点在する、阿古木・アコ木などの
アコギも、同じコギ地名だろうと思う。
アコ木というのはアコウの木の別名。


・長崎市茂木の海岸の斜面には、上コギ水・下コギ水という
思いっきりストレートな名の小字地名が並んでいる。
1707DSCF2100.jpg

料亭こがねの近く。最近出来た新しいトンネル入口の
上あたりが「下コギ水」。上コギ水はその上方。

工事で地形がすっかり変わっている。
1707DSCF2104.jpg

しかし、この不自然に沢山開けられた壁面の排水管が、
地下水の多い土地である事を教えている。

トンネル上の竹林の脇の水路には、なぎ倒された細竹が
散乱していた。
1707DSCF2102.jpg

裏側の旧道の崖には、太いコンクリートの樋管。
やはり水の量がハンパでなかった事が判る。
1707DSCF2101C.jpg 



・道路沿いの桜が有名な、多良見町の古川(ふるこ)の
近くには、漕網代(こぎあじろ)という小字がある。

国道とJR線路が通る以前は、急斜面の崖が海まで
続いていたと思われる。
1707DSCF2010.jpg

斜面から水が集中して流れ落ち、海岸にあった漁場を
押し流していたのではないだろうか。

ここにも大きなコンクリートの樋管!判りやす~い。
1707DSCF2007C.jpg 
流れる水で湿気が多いためか、コケがびっしり。


ネットの地図でも探してみた。
興味がある方は、地図で住所検索してご覧くだはれ。


・和歌山県西牟婁郡白浜町伊古木(いこぎ)
(塩野の表記も)

狭い山間から流れ下る川は、いきなり平地に落ちて
大きく不自然に蛇行する。短い割に川幅が妙に広い。
上流のダムがなかったら水はすぐ溢れそうだ。


・愛知県丹羽郡大口町河北(こぎた)

平野部の田園地帯。大きくS字を描く二本の川の間。
やはり氾濫しやすそうに見える。
明治元年の大雨では甚大な被害があったとの事。


・鹿児島県伊佐市大口小木原(こぎはら)

山間の広い盆地にある田園地帯。盆地全体に曲がりくねった
川が何本も流れているが、特にここは大きな十曽ダムの下。

※ちなみに、伊佐市の市歌は「伊佐はとっても いーさ」


これらは、曲がりくねった川と、背後に山がある所だった。


コギ地名は、探せばまだ出てくる。
実は他にも見つけているのだが、もう書かない。

眠いし、飽きたし、長くなるからだ。


自分的には、コギは水害地名だとほぼ確信しているが、
実際はまるで違うかもしれない。

その時はこっそり記事を削除して、知らん顔をしようと思う!


(またか)
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テーマ : 長崎
ジャンル : 地域情報

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Author:Ramblingbird
長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。 

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