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地名散歩 本当は怖くない首地名

長崎地名的散歩
05 /06 2020
 「首塚」という地名がある。

 戦国時代に、敵兵や反逆者の首を切って埋めた所とか、
その供養のための塚がある所だとか言われている。

 長崎では、国道251号を、森山町唐比から愛野展望台方面へ
向かう途中の枝道にある、高さ2m程の「首塚」が有名だろう。
DSCF0216A.jpg

 その近辺は、首塚という地名になっている。
DSCF0214A.jpg

 案内板には、やはり恐ろしげな伝説が書いてあるが、
現実的な「古代の豪族の墳墓説」も紹介されている。
DSCF0210A.jpg

 これは大事なことで、伝説だけを事実のように書くと、
知識の無い者は「そうなんだぁ」としか思わない。
 特に子ども向けだと、自分で考える機会が失われる。

 
 首塚のほか、耳塚や鼻塚もよく聞くし、胴塚とかも
あるらしい。「尻塚」はまだ聞いたことがない。
 玉、 いや、何でもない。

 長崎ではキリシタン殉教に関係する話も多い。

 実際に残虐な行為が行われた事実もあると思うが、
多くは、人間の恐怖心が生んだ伝説だろう。

 キリシタン宗徒の片耳を切り取ったというような話も、
資料によって内容が異なる。怖ろしいことは、どんどん
悪い方に話が大きくなるものだ。

 また、自然災害や蝗害、疫病などが発生すると、
「こりゃあ首塚様のタタリばい!おっとろしかぁ~!
はよう供養ばせんば!」「そげんたい、そげんたい!」


と、ずいぶん昔に死んだ人であっても、それが誰なのか
知らなくても、タタられるぅ~!と怖れて祀った。


◯◯首という地名は、数多く存在する。
たとえば、

牛の首(うしのくび)  時津町左底郷
鳥ノ首(とりのくび) 長崎市三重田町
赤子首(あかごくび)  生月町里免  
首切(くびきり) 上五島町続浜ノ浦郷

キヤアアアアア────ッ!! 

おどろおどろしい地名ばかりだが、心配ご無用!

これらはすべて、土地の状況に由来するものだ。


 地名の「首」は、大抵が土地の片側または両側が
他より細くなった「くびれた土地」の事を言う。

そして、その場所の状況を表す言葉が付加される。

 上記の首地名を地名用語で読むと、次の様になる。

・牛の首(うしのくび) 時津町左底郷
 32.831614, 129.826901 (※Googleマップ検索用)
 ウシはウチで、ある範囲の内側を指す。または、
「憂し」の意で、地盤がよくない土地を言う。
陥没して首地形になる場合もあるだろう。
 ここは山の奥の方で、斜面が丸くえぐれている。
ushinokubi_1A.jpg
  Googleマップ 3D衛星写真より


・鳥ノ首(とりのくび) 長崎市三重田町
 トリは土地を取るのトリで、崩壊地を意味する。
地形の一部が崩れて首地形になることもある。
 詳細場所不明。


・赤子首(あかごくび) 生月町里免
 33.385692, 129.416124
 アカは、湿地または、赤土の土地。多くの場合、
水に関係している。舟に溜まった水もアカという。
また、崩壊地の意味もあるらしい。ゴは水溜りを
意味する湖(ゴ)、あるいは、淀んだ川(ゴウ)では
ないかと思う。
 生月の場合は、丘から下りた首地の下に田んぼ
がある。丘の周辺には、側にある番岳からの湧水
と思われる溜池が多数見られる。

 ハウステンボスの敷地内にも、赤子、赤子新田、
赤子渡などの小字地名がある。
ここも元々は、海岸そばの低湿地だった。

  
・首切(くびきり) 上五島町続浜ノ浦郷
32.969990, 129.021414
サラリーマンには一番怖い地名。キリは「切り」で
切れたような崩壊地か。
 全体的にくびれた形の半島の斜面に、地すべりで
えぐれたような縦方向のくぼみが見える
kubikiri_1A.jpg
  Googleマップ 3D衛星写真より


「首塚」も、くびれて盛り上がったところ(塚)なら、
ホラ、怖くない!
ガブ!ウッ! 
痛てててて‥

(ああそうさ、つまらないさ)


 では、例の愛野町にある首塚はどうだろう?
 32.798363, 130.146064

 ここは、千々石断層の崖が始まる所であり、大昔
に隆起したり崩れたり、取り残されたりした地形が
絡み合って、いびつになっている。
kubiduka_chikei1A.jpg
  Googleマップ 3D衛星写真より

塚がある丘の下の国道登り口は、土を盛って道路の
基礎にしてあるが、元々は崖地だったようだ。

海岸から回り込んで登り、国道を横切って丘の上に
続く道が、元からある旧道。

 その周囲は、大きくえぐれた(くびれた)地形に
なっている。明らかに首(クビレ)地形だ。
DSCF0231A.jpg

首塚は、元は「塚ノ首」など、塚のある首地という
意味の地名だったのかもしれない。

それが時代の経過と共に、塚には首が埋まっとるに
違いなかばい!うんにゃ、おっとろ~し!
となり、
首塚になったのではないだろうか。

たぶん、そんな所だと思うのだが‥。


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Ramblingbird

長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。