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【地名散歩】 植物地名 エノキ

長崎地名的散歩
04 /11 2021
 植物の名がつく地名の由来は、まず、その植物が多く生えていたからと言われる。しかし、その通りである事はほぼ無かろうと、我々、毛石町特殊地名捜査班は考えている。植物地名には、どうやら別の意味が含まれているようなのだ。

 刑事ドラマの中盤、犯人の目星はついているのに、証拠が無かったり、アリバイが崩せなかったりで、「逮捕できず歯がゆい状況」がよく描かれる。
 最後に主人公は、同僚の何気ない言葉をヒントに鮮やかに謎を解き、「犯人は(クルッ)、あなただったんですね?」と、言い放つ!

 地名の由来を探る際も、時々同様の事が起きる。複数の場所にある同じ地名の土地状況がほぼ一致しているのに、今ひとつ何かが足りず、自信を持って断言できないのでおじゃる。
 こちらはなかなか解決せず、オクラ入りになる事が多い。
 オクラ入りと言っても、ヌルヌルしたオクラ汁の中に突き落とされたりはしないので、心配はいらない!
 
 そういった決め手に欠ける例のひとつが「エノキ」地名
 エノキは、ヌメヌメしたえのき汁のえのきではなく、ほとんどが、高い木の方の「榎・榎木」と書く。

 長崎南部のエノキ地名を探したら、次のものが見つかった。

・長与町 榎の鼻(えのきのはな)
 長与の中心部にある台地の一角。最近、上にイオンタウンが出来た。
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 周囲は、以前から崩落防止のコンクリートで覆われており、崩れやすかったものと思われる。「ハナ」は、突き出した形だからだろう。
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・長与町 榎の迫(えのきのさこ)
 長与ダムのそば。高い崖が、全面コンクリートで覆われている。「サコ」は、ダムの部分を含め狭い谷だったからに違いない。
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・長崎市現川(うつつがわ)町 榎木(えのき)
 現川駅方面に向かう県道の途中。土地の形状をよく見ると、川岸の形がここだけ不自然。
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 むかし道路の上方が崩れて、その土砂が川のそばに積もったと考えられる。
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  Google3Dマップより

・大村市中岳町 榎茶屋(えのきのちゃや)
 川のそばに榎が木陰をつくる茶屋があったと伝えられる。実際に榎の木が立つ河川公園がある。ただ、お節介な人が「榎茶屋なのに榎が無い」と言って後世にわざわざ植えるような例は、間々ある。
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 公園の横の道路には河岸段丘の崖が続き、やはり全面コンクリートで覆われている。
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・諫早市高木町深海古場 榎堂(えのきどう)
 山中の集落で、斜面に階段状の丘が突き出した土地。
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 周囲や、段々畑のあちこちは、現在も小崩落を繰り返している。
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・飯盛町古場 榎原(えのきばら)
 よくは判らないが、狭い谷の下に当たり、崩れて流れた土砂がたまって一段高くなっているようにも見える。
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  Google3Dマップより

 共通点は、お察しの通り、たぶん「崩れやすい所」

 実際に現在も崩れていたり、崩れないよう、崖全面を必殺コンクリ固めしてあったり、よく見ると、むかし崩れたと思われる地形だったりで、状況はほとんどクロ!

 エノキの「エ」は、壊(え)か、崩(く)えのどちらかの意味だろうと思うのだが、他に類例が見当たらない。クエは、ケに変化していることが多い。
 江(え)で、水との関連も考えたが、ほとんどが適合しない。

仏教語の金剛不壊(こんごうふえ)は、ダイヤモンドのように硬く壊れないという意味。古くから「エ」は壊れるの意味で使われていたと考えられる。

 角川 新字源によれば「壊」という漢字の元の意味は「土が崩れる」だ。

 エノキの「ノキ」は、次の意味が考えられる。
①「軒」でヒサシのように突き出した地形。
②「退(の)き」で、崩れる崖地。
③あるいは「〜のキ」で、単にその場所を指す。
 これは、一応どれでも意味は通る。

 つまり、エノキの意味は「壊・退き」というところか。
 しかし、エノキ以外でエのつく崩壊地名が見つからない。

 状況は判っているのに、決め手がなく、モヤモヤ〜ンとしてイイイイイイ〜〜!!となる。

 「犯人は、榎木さん、やはりあなただったんですね?」と言える日は、いつのことだろうか。

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Ramblingbird

長崎南部の自転車散歩やどうでもいい出来事を、小学生ギャグを交えて書き散らします。お下劣な表現を含みますのでご注意下さい。